研究課題/領域番号 |
13558083
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
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研究分担者 |
荒木 保弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60345254)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2002年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2001年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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キーワード | 胎児肝 / 肝芽細胞 / MAPキナーゼ / SEK1 / JNK / c-Jun / 造血幹細胞 / NFκB / 骨髄細胞 / 幹細胞 / モノクローナル抗体 / アルブミン |
研究概要 |
我々は、ストレス応答性のMAPキナーゼSAPK/JNKの活性化機構やその生理的役割をその2種類の活性化因子であるSEK1およびMKK7の観点から解析してきた。これまでに本シグナル伝達系がマウスの胎児肝形成に必須の役割を果たしていることを明らかにしてきた。しかしながら、肝形成の分子レベルの研究は近年始まったばかりであり、胎児肝特異的な分子マーカーの不足や細胞の培養技術の遅れから、肝幹細胞である肝芽細胞の発生やその増殖・分化の解析環境は不十分のままである。そこで本研究では、解析ツールとして利用可能な初期胎児肝特異的モノクローナル抗体の作製から開始し、その後、各種ノックアウトマウスの解析を行った。その結果、胎児肝特異的なモノクローナル抗体を複数作製することに成功した。このうち抗Liv2抗体は胎児パラフィン切片内の肝芽細胞を、抗Liv5抗体は胎児肝に存在する血球系の細胞を特異的に認識した。次ぎにこれら抗体をツールに用いて、正常およびノックアウトマウスの胎児肝における肝芽細胞の出現や増殖の様子を詳細に解析した。造血幹細胞形成不全マウスであるAML1ノックアウトの胎児肝の解析から、肝芽細胞の出現・増殖が造血系の形成とは独立に進行していることを明らかにした。正常マウスでは胎生9日(E9)に出現する肝芽細胞はE10.5からE12.5の2日間で約6倍に増殖すること、SEK1ノックアウトマウスではE10.5からの増殖が停止するのに対して、c-JunノックアウトマウスではE12.5日以降で増殖に傷害が起こることが判明し、SEK1→SAPK/JNK→c-Junシグナル伝達系が肝芽細胞の増殖・生存シグナルとして機能していることが示された。さらに腫瘍壊死因子の受容体であるTNFR1ノックアウトマウスの解析から、このシグナル系は他の生存シグナルであるNFkB系とは異なる役割で機能していることが明らかになった。以上、本基盤研究により有用なツールと重要な知見が得られた。
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