研究課題/領域番号 |
13558107
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
佐々木 克典 信州大学, 医学部, 教授 (30170666)
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研究分担者 |
城倉 浩平 信州大学, 医学部, 講師 (30303473)
田川 陽一 信州大学, ヒト環境科学研究支援センター, 助教授 (70262079)
天野 純 信州大学, 医学部, 教授 (20138283)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 心臓創生 / 胎生期心筋細胞 / ES細胞由来心筋細胞 / 心筋細胞移植 / 血管 / 部分心臓移植 / 埋込型心肺装置 / ES細胞 / 動脈の心臓化 / 静脈の心臓化 / IS細胞 |
研究概要 |
本プロジェクトでは心臓創生に焦点を絞り、胎生期心筋細胞,ES細胞由来心筋細胞を用い動脈と静脈の心臓化およびその応用を目指した。平成13年度に行った胎生期心筋細胞による動脈の心臓化に関する研究はTissue Eng8巻2002年に掲載された。要約すると、胎生期の心筋細胞は異所性に移植が可能であり、自ら血管を確保し、収縮機能を示した。この研究は埋め込み型心肺装置への研究に発展した。しかし動脈周囲に巻いた胎児心筋細胞は増殖能が移植後7日前後でほとんど消失し、動脈の自律拍動化には細胞量が十分であるとはいえなかった。 そこで14年度に無限に増殖し、多分化能を持つES細胞を細胞供給源とするため、ES細胞由来心筋細胞の研究を開始した。内容の一部はCardiovascular Research58巻2003年に掲載された。概略するとin vitroで分化させた心筋細胞は心房筋が主で心室筋を確保できなかった。しかし移植すると心室筋も出現することから、心房筋から心室筋へのスイッチがin vivoに存在するファクターに強く依存していることが推測された。このような結果を踏まえES細胞由来心筋細胞を動脈周囲に移植し動脈の心臓化を試みた。心筋細胞は自ら血管を確保し、自律的拍動を示した。従ってES細胞由来の心筋細胞をこのプロジェクトが求める心臓創生に応用できることがわかった。またこの間心筋細胞を確実にかつ大量得るために幾つかの方法が試され開発された。通常ハンギングドロップ法で胚様体を作り、ゼラチンコートデッシュに接着させると約100%の確率で拍動を開始する。しかしこの方法は煩雑であるため、特殊に作成されたチューブを用い確実、手軽に胚様体を作成する方法を確立した。この概要はJ Biosci Bioeng96巻2003年に報告された。次に心筋細胞のセレクトについて検討を加えた。最初遺伝子導入によるセレクトを中心に行ったが、量が多く取れず、しかも増殖能力が落ちていた。そこで残存しES細胞を取り除くネガテーブセレクション法を考案した。奇形腫の形成は見られたが、最初の方法に比較すれば改善された。現在ES細胞から直接心筋細胞に分化させる方法を検討し試みている。 平成15年度は移植されたES細胞由来心筋細胞の細胞生物学的研究を進めた。特に心房性内分泌顆粒について焦点を絞り解析した。その結果免疫染色法により、数は少ないが、明らかに存在することを見いだした。したがって今後ES細胞由来心筋細胞を用いた再生医療は、心不全を始めとする幾つかの心疾患へ応用できることが明らかになった。この研究の内容は現在投稿中である。また局所的な循環改善を目的に、酸化チタニアナノチューブの光触媒による酸素産生能を利用し酸素供給装置を作成した。この装置と心筋移植を組み合わせ,埋込型心肺装置を開発した。さらに新たに着手したのが、部分心臓移植の手技の開発だった。これは異所性に作成した心筋組織を、血管を確保したまま、元の心臓の壁を切り取った部位に移植する方法である。この方法が完成すれば、細胞移植と異なり、移植後すぐに心筋の機能を確保することが可能である。ここでは大網に作成した心筋組織を心室壁に移植するため、胸部横切開法を開発した。この方法の利点は視野が広く、操作がやりやすいことであり、実際手術を施行できたケースでは、80%ほど生存する。この方法の完成により、部分心臓移植を試みることが可能になった。
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