研究概要 |
1.小型恒温観察チャンバーの製作と性能評価 ステンレス鋼板とガラス板を用いて,両側面の開口部からチャンバー内にマイクロツールを挿入する形式の小型恒温観察チャンバーを製作した。チャンバー(容量0.7ml)の左右にはそれぞれリザーバー(合計容量1.5ml)が隣接しており,溶液の蒸発による浸透圧変化の影響を抑える構造となっている。また,リザーバーと外部のリザーバーとの間に微小循環系が設けてあり,薬剤をチャンバー内に供給することが出来る。チャンバー上部へ循環する温水と,顕微鏡ステージに取り付けたヒータによって,チャンバーおよびリザーバー内の溶液の温度をほぼ均一に37℃に保つことが出来た。2時間以上にわたって線維芽細胞の観察を行ったところ,細胞はチャンバー内で良好な状態を維持していた。 2.フォースセンサーの改良 前年度に製作した厚さ30μmのステンレス鋼板製のカンチレバーのたわみをレーザー変位計で計測する方式のフォースセンサー(検出感度を数十nN)を改良し,カンチレバーのバネ定数を小さくするとともにハウジングを工夫することによって,感度を向上させることが出来た。 3.線維芽細胞の細胞内カルシウムイオンの観察 家兎膝蓋腱から採取した線維芽細胞の細胞内Ca2+を蛍光色素でラベリングし,Ca2+濃度の分布を三次元的にリアルタイムに観察,記録できることを確認した。 4.血管平滑筋細胞の荷重-伸び関係の計測 家兎大動脈から採取した平滑筋細胞に薬剤を投与して収縮,弛緩させた後に,荷重-伸び関係の計測を行ったところ,収縮した細胞は弛緩した細胞よりもスティフネスが高いことがわかった。
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