研究概要 |
本研究は,(1)タンパク質のC末端ラベル化,(2)タンパク質のマイクロアレイ化,(3)タンパク質間相互作用の解析という手順で行う。前年度は,これら各ステップについての基盤技術を,Fos-Junをモデルタンパク質としてほぼ確立できたので,本年度は,ラベル化およびマイクロアレイ化のハイスループット化を図るために,他のタンパク質について種類を増やして条件検討を行った. まず,ポリコーム遺伝子群の中からRYBPおよびRipg1A,カルモジュリン結合タンパク質の中からミオシン軽鎖キナーゼ,カルシニューリン,カルスペルミンなどの遺伝子をクローニングし,GST融合タンパク質として小麦胚芽由来無細胞タンパク質合成系で同時に平行してタンパク質を合成し,グルタチオンを塗布したスライドガラスに固定化した.この上に,蛍光色素Cy3とピューロマイシンが連結した化合物でC末端標識したRYBP, Ring1Aおよびカルモジュリンを振りかけ吸着・洗浄した後,蛍光スキャナーよってタンパク質間相互作用を検出することに成功した.このとき,様々な条件検討の結果,固定化するタンパク質の量は0.1mg/mlの濃度があれば未精製でも十分であり,また,固定化した後1週間経過してもスポットを検出することができたことから,スライドガラス上でタンパク質が安定に保存されることが分かった. さらに,96穴および384穴マイクロプレートを用いたハイスループット化のモデル実験を行った.ストレプトアビジンにペプチドを付加した融合タンパク質を96穴および384穴マイクロプレートで多数,無細胞転写・翻訳し,ビオチンを塗布したスライドガラス上にスポットした.ペプチドに対する抗体および蛍光標識二次抗体を用いて,各スポットのペプチドを検出することに成功した.今後,ヒト完全長cDNAを用いて,タンパク質マイクロアレイの作成を行う予定である.
|