研究課題/領域番号 |
13571021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国学院大学 |
研究代表者 |
大崎 正治 国学院大学, 経済学部, 教授 (50052147)
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研究分担者 |
比嘉 政夫 沖縄大学, 法経学部, 教授 (10045198)
上田 信 立教大学, 文学部, 教授 (90151802)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
10,800千円 (直接経費: 10,800千円)
2003年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2001年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | メコン川流域 / 少数民族 / 森林文化 / 持続的共生社会 / 雲南省 / 森林保護 / 西双版納 / 臨滄 / 双江 / 〓族 / 拉〓族 / 〓〓族 / メコン川 / 持続的社会 / 共生 / 布朗族 / 哈尼族 |
研究概要 |
本調査研究は、山岳少数民族の社会を対象とし、彼らの森林と共生する生活様式を、当該地域の今後の経済社会の構築の中核に据えるべく、その現代的な意義と価値を探る事を目的とした。近年の東南アジアにおける政治的安定と経済グローバル化の深化の中で、開発対象として急速に注目を集めている巨大国際河川メコン河(中国名:〓〓江)水系に住む合計6民族9ヶ村(中国西双版納〓族自治州〓海県、〓〓地区〓〓県・双江県、保山地区〓冲県の〓Dai族3ヶ村、〓Wa族2ヶ村、布朗Bulang・哈尼Hani(愛尼Aini)・〓〓Lisu・拉〓Lahu族各1ヶ村)で調査(本調査3回、補足調査1回)を行った。 当該研究では,1.村落社会における森林政策・制度の影響、2.村落の歴史と自然環境の変遷,3.森林利用とその結果(森林利用に焦点を当てた生業活動の実態と慣習法、)、4.世界観(村落世界の民族固有の環境認識)の4点に問題関心を絞った。もちろんそれぞれの民俗,村落でその負って来た歴史は異なるものの,調査結果の分析から,概して次のような諸点を指摘できる。 当該地域の少数民族の多くは、森林に尊崇を払いつつそれを利用して長年生活を営んできた。第二次世界大戦後の中国革命成立による激烈な中央集権化と、世界的な物的生産力の急激な拡大の中にあって、彼らの伝統的な自給的生活様式は大方、無視・否定され、大きな破壊を被ってきたし、今なおさらなる破壊の危機に直面しているといってよい。その傾向の一部は皮肉にも、近年の、商業主義的開発と抱き合わせとなった森林保護政策によっても、促進されている。 我々は、彼らが長年にわたって主体的に編み出してきた森林保護の思想や文化が、森林の維持と利用を両立させるために重要な機能を持っており、その中に今後の森林環境を保護していくための第一の意義と価値を見出すものである。森林保護とそこに生きる民族の生存とが密接不可分の関係にあること、森林保護に森林利用民の排除は必要ないだけでなく、むしろ当事者でない者に決定権を持たせることは森林破壊を導き当該地域社会を混乱に導くものと考える。森林利用の当事者である、我々が調査対象としたような少数民族をこそ、森林保護の一番の担い手に据えるべきであるという結論を得た。 最後に,本調査研究の成果の一部を公開する目的で,国際シンポジウムを開催したことを附記する。
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