研究課題/領域番号 |
13571034
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
常木 晃 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (70192648)
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研究分担者 |
赤羽 貞幸 信州大学, 教育学部, 教授 (40089090)
滝沢 誠 静岡大学, 人文学部, 助教授 (90222091)
三宅 裕 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (60261749)
久田 健一郎 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (50156585)
中村 徹 筑波大学, 農林学系, 教授 (60015881)
HUDSON Mark 筑波大学, 第一学群, 外国人教師 (20284052)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
2003年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2002年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2001年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | レヴァン / シリア / 新石器時代 / 都市形成 / 社会の複雑化 / テル・エル・ケルク遺跡 / 物資管理システム / 職業専門化 / レヴァント / 封泥システム / 専業化 |
研究概要 |
研究代表者らは1977年以来、シリア文化財博物館総局と共同で、北西シリア、エル・ルージュ盆地内に所在するテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査を進めてきた。同遺跡は西アジア新石器時代で最大級の集落遺跡であり、2000年までの第1次発掘調査において、都市的な巨大集落の出現や社会の複雑化、職業専門化などのプロセスを追及するために極めて重要な遺跡であることが判明している。本研究で実施した第2次発掘調査では、この巨大な新石器時代集落の形成過程、社会統合システムの解明を直近の目的とした。そのために、テル・エル・ケルク遺跡の発掘調査を継続したことはむろんであるが、エル・ルージュ盆地内に所在する全てのテル型遺跡について再踏査も実施し、セトゥルメント・パターンの復元に当たっての不足データを補うとともにトータル・ステーションシステムを用いて全てのテルを測量、遺跡地図を完成させている。本研究の結果、以下のような点が明らかになった。 (1)テル・エル・ケルク遺跡の先史時代集落は、レヴァントでの本格的農耕開始期である先土器新石器時代B期初頭(紀元前9000年紀)まで遡り、この集落の出現と農耕開始が密接に結びついていること。 (2)出土した植物種子の研究から、集落が営まれ始めた直後より、テル・エル・ケルクではコムギ・レンズマメの栽培が既に始まっていた可能性が高いこと。また動物骨の研究から、ブタ・ウシが早くから重要な食糧元となっていたこと。 (3)したがって、これまでユーフラテス河流域などと比較すると1000年以上遅れると見られていた北西シリアの新石器化の開始が大幅に遡る。 (4)テル・エル・ケルクでの新石器化の進展速度は極めて速く、集落開始から1000年も経たないうちにハイアラーキカルなセトゥルメントシステムの頂点にたつ巨大な都市的集落に成長し、遠方から貴石類が搬入・加工され、専門的な生産体制と複雑な物資管理システムが機能していた。
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