配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
研究概要 |
ベラルーシは「独裁的」な政治体制と「ポピュリスト」政策のもとに、世界で唯一古典的社会主義を標榜している国である。一方ウクライナは体制転換が開始されたとはいえ、その歩みは遅々としたもので、体制転換を促進すべき政策選択も明確ではない。本研究では、この両国において体制転換の契機が発生しうるような経済的基盤と社会的構造を解明することを目的とし,また比較研究の必要からリトアニアの政治構造との比較も行った。本研究の結果,従来のステレオタイプな「独裁政治」や「ポピュリスト」といった概念が問い直され,また従来西側研究者によってもほとんど無視されてきた地方政治の分析が政党研究の手法でなされた。これが本研究の成果の第一の特色である。その結論は,経済的要因よりも政治的要因とりわけ地方レベルでの政党活動が体制転換の鍵となるというものである。 本研究の第二の成果として、従来の研究がマクロ経済研究の性格を持っていたのに対して、社会の底辺に降り立って、その社会を支える基本的な経済・社会構造をミクロ的に解明したことが挙げられる。具体的には地域社会における民族構成とその社会的・経済的構造,企業の生産分担体制,人事に代表される指揮系統、労務管理、などを家族インタビューの手法を用いて解明した。59軒において詳細な家系図が作成された。結論としては,両国とも,現在の社会・経済構造の基盤は1945〜47年当時に形成されており,現在でもその痕跡が明確に残っている。しかし,体制転換をもたらすであろう新しい動きが,30歳以下の年齢層,とりわけ高学歴層で観察され,これらの階層によるビジネス活動は顕著に市場経済化を促進している。これら経済の底流にあるイニシアティブが地域の政党活動と結び付いたとき,本格的な体制転換が実現するであろう。これが本研究の第二の結論である。
|