研究概要 |
本研究は,日本とインドネシアの共同研究であり,日本側からは延べ8名がインドネシアへ出かけるとともに,インドネシアからは6名の研究者を招聘して3年間の研究活動を行った。得られた成果の概要は以下のとおりである。 1.空間計画法に基づくインドネシアの土地利用計画制度を通観し,各種計画制度の現状,地方分権との関係,ならびに拡大首都圏(JABODETABEK-PUNUR地域)における計画策定・実施の現状と問距点を考察した。 2.インドネシア全土の県単位の社会・経済データベースを構築し,公開できる形式に作り上げた。また,全国町村センサスのディジタルデータを収集・整理しカタログ化を行った。 3.LANDSAT衛星画像を利用し,画像処理と地理情報システムによる分析により,ジャカルタ市およびその近郊域(JABOTABEK地域)の土地利用変化の状況を定量的に明らかにした。 4.JABOTABEK地域を対象にした農地転用モデルを開発し,「優良農地を保全する」等の様々な土地政策の下での土地利用変化をシミュレーションする手順を示した。 5.衛星画像を用いてボゴール県山間地域の土地利用変化を分析するとともに,土地保全のための支払い意思額について住民アンケート調査を行った。その結果,住民の土地保全に関する意識は,先進諸国の事例に見られるものとは大きく異なり,教育水準,収入水準,土地価格とも支払意思額との相関はそれほど高くないことが判明した。 6.首都圏近郊農村における農地転用の実態とそのメカニズムを把握するため,ボゴール市郊外の山間農村(チアンペア郡)において聞き取り調査を行った。所有者および購入者の行動(農地売却・購入・利用)の要因を多項ロジットモデルにより分析し,農地転用に関わる意思決定プロセスを明らかにした。 7.最後に,JABOTABEK地域と日本の首都圏の土地利用変化について比較論的に考察を行った。
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