研究課題/領域番号 |
13610018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山下 博司 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (20230427)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | インド思想 / ヒンドゥー教 / 近代思想 / キリスト教 / 宣教師 / イエズス会 / デ・ノビリ / ベスキ / インド哲学 |
研究概要 |
ヨーロッパの学者が南インド・タミルナードゥとはじめて接触をもったのは、ロベルト・デ・ノビリのような宣教師が来到した紀元後16世紀に遡る。イギリス東インド会社がタミル地域に足場を固めるや、この地域は、その後継続的に2世紀の間、ヨーロッパから宣教師や植民地支配の当事者たち(行政官)を受け入れていくことになる。土地の人々に教えを根付かせようとする彼らの試みと、効率的な植民地支配は、土地の言語であるタミル語やその文学の研究を必然的に内包するものであった。彼らはこの方面でたゆまない努力を傾けた。努力の賜として、いま我々は、多くの翻訳文献、辞典、文典を有している。これらは本来宣教師たちのためのものであり、タミル語話者のために作られたものではなかったが、タミル人たちの意識に新しい地平をもたらし、新しい意思疎通の道具としてのタミル語の可能性を切り開くものだったのである。 文学的な展開の一方で、宗教的な方面においても、宣教活動による文化変容が顕在化しつつあった。新しい宗教を彼らの社会に迎えることは、その宗教を、もとからあった宗教概念や理念を用いてアイデンティファイすることを意味していた。これは必然的に語の用法の変化をも随伴していた。宗教的に重要な事項を表す単語も新たに作られるなど、タミル語は豊かさを増していくことになる。 本研究プロジェクトでは、研究活動の基礎として、世界中に散逸している基礎資料の収集に特別の配慮が払われた。次に、カトリック教会所属の宣教師たちによる黎明期の文学活動について詳細な検討が為された。具体的には、イエズス会初期マドゥライミッションに属するエンリケスやデ・ノビリの事績に焦点を絞って研究が行われた。この研究によって、タミル・キリスト教文学の初期段階がつまびらかになり、キリスト教とヒンドゥー教の最初期の思想交流と宗教間対話の黎明期の事情が明らかになった。
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