研究課題/領域番号 |
13610023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
谷 貞志 高知工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (10110206)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 刹那滅論証 / カーラヴァーダ / 認識論的サーキュラリティ / 超越的時間 / 反刹那滅論 / ジュニャーナシュリーミトラ / ダルマキールティ / ラトナーカラシャーンティ / 刹那減滅論 / 反刹那減滅論 / ジャイナの「変化する普遍」 / ウダヤナ / ヴェーダの恒常性 / クマーリラ / パールテャサラティミシュラ / ヴァーチャスパティミシュラ / ミーマーンサー / 内遍充論 / 排中律 / 「対偶関係」非対称性 / 形而上学的時間論(カーラヴァーダ) / 直観主義論理 |
研究概要 |
解脱を目指すことがインド哲学のライト・モチーフであるかぎり、アートマンの自己同一性を基底とするブラフマニカル・システムは、解脱という結果に対する原因としての哲学が自己同一性を持つアートマンにおいて成立しなければならない。性質(ダルマ)が変化しても、基体(ダルミン)は同一である。この基体は超越的時間論(カーラヴァーダ)であることが判明する。反アートマン主義に立つ佛教はこの自己自身(アートマン)の自己同一性を刹那滅によって解体するから、同一主体において解脱を達成できない、ということが反刹那滅論からの最大の攻撃になる。逆に、佛教によれば、自己同一性が持続するかぎり、解脱への転換は不可能である。刹那滅の自己消滅によってのみ、絶え間ない自己変換の最終瞬間において新しい解脱への瞬間が発現する。反刹那滅論はすべて概念構想としてのことばの指示対象の実在を認める実在論に基づいている。刹那滅論はその実体の2瞬間以上にわたる同一性を解体するのみならず、指示対象の自己同一性も刹那滅の自己差異性によって破壊することをねらっている。この意味で刹那滅論は反実在論である。基体の同一性の持続そのものを解体するのである。反刹那滅論と刹那滅論はそれぞれ実在論と反実在論という存在論・認識論に基礎づけられている。もし、刹那滅論がその自己の存在論・認識論の範囲のみで有効であるということになれば、反刹那滅論と刹那滅論はそれぞれの固有の存在論・認識論の内部でのみ成立するという認識論的サーキュラリティから脱することができなくなる。本研究の最終成果は「反実在論をとる刹那滅のみがこの認識論的サーキュラリティを脱することができる」ということにある。
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