研究課題/領域番号 |
13610038
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
栗原 隆 新潟大学, 人文学部, 教授 (30170088)
|
研究分担者 |
城戸 淳 新潟大学, 人文学部, 助教授 (90323948)
山内 志朗 新潟大学, 人文学部, 教授 (30210321)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 市民 / 公共性 / 責任 / 自由 / 共同 / 義務 / 大人 / 権利 |
研究概要 |
研究は、旧来の価値観が揺らいで社会的公共性が崩壊しつつあるとともに、また科学技術の負の面が大きく問題化している今日の文明的な混沌の状況において、われわれの今日の価値観の基盤となっている近代初頭の価値観を再検討することを課題とした。本研究はとりわけ、近代の「市民」概念の系譜とその今日的な課題を検討することを試み、現在求められるべき「シチズンシップ」の実相を明らかにした。 その研究成果として、代表者・栗原隆は、ピューリタン革命期の政治文書における「共同する自由」の観念から、さらにルソー、カント、ヘーゲルなどにおける祉会契約思想の系譜を辿り、自由と公共性の結ばれる地点を探った。また、研究の発展として、今日の日本人から刻苦精励や勤勉などの価値観が希薄になるとともに、生産現場での職人気質の消失に伴って、正確で確実なモノつくりの気風が喪われたことに鑑み、生産活動に物語りを用意できるところに「モノつくりの倫理」の成否が掛かっていることを明らかにした。山内志朗は、人格概念の系譜を、ドゥンス・スコトゥスなどの中世哲学の文脈に溯って理解することを試み、私という人格の唯一性の哲学的な根拠を明らかにした。城戸淳は、啓蒙時代における市民概念の成立をカントの啓蒙論文のなかに読みとり、啓蒙哲学の今日的な意味を再検討した。 本研究によってわれわれは、「自由」、「市民」、「人格」、「成年」などの近代の価値観の哲学思想的な源泉を辿り、その本来の文脈あるいは課題を再構築することで、現在の混乱した社会的状況に対して、意義ある一視角を提起しえたと考える。
|