研究課題/領域番号 |
13610091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 第一福祉大学 (2003) 佐賀医科大学 (2001-2002) |
研究代表者 |
酒井 誠 第一福祉大学, 人間社会福祉学部, 教授 (80124808)
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研究分担者 |
池田 行伸 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (50159638)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 片眼摘出 / 一側性視覚野破壊 / 暗環境 / 視覚弁別学習 / 神経栄養因子 / c-Fos発現 / 視覚野破壊 / 白黒弁別学習 / ラット / アルビノラット / 脳損傷 / 補償機能 / 神経系の可塑性 / 視覚系 |
研究概要 |
3週齢という幼若時にラットの右側皮質視覚野を破壊し、3ヶ月に達するまで育て、その後白黒弁別学習を課すと出生時に右眼を摘出されたラット(OEB)も3ヶ月齢で右眼を摘出されたラット(OET)も300試行以内で学習できた。これは左眼から左側皮質視覚野に到る視覚系が補償的に機能したことによると考えられる。幼若時に視覚野を破壊されることにより神経栄養因子が放出され、このような補償効果が生じると我々は考えた。しかし、視覚野破壊後に明環境で育つため、強制的に微弱な同側視覚系が強められたことによる可能性も否定できない。この可能性を検討するため、平成13,14年度は視覚野破壊後、ラットを暗環境で育て、視覚を使わせないようにした。そして白黒弁別課題を課した。その結果、OEBもOETも以前の結果と同じように課題獲得に成功した。しかし、同側視覚野の役割を確かめるため左側皮質視覚野を破壊して同じ課題を与えたところ、すぐに課題を獲得できた。この原因を探したところ、右側皮質の残った部位が機能していることが分かった。3週齢での一側性視覚野を完全に破壊する手法を確立して、平成15年度では再度上記の問題の検討を行った。結果は、OEB、OETともに、これまでと同じように弁別課題の学習に成功することを示した。また左側視覚野破壊後の再学習は成立しなかった。このことは、弁別学習の促進に、残存する左側視覚系の強制的な使用の要因は強く関与していないことを示唆する。したがって、弁別学習の促進要因としてもっとも可能性があるのは、破壊組織から放出される神経栄養因子による、残存視覚野における再組織化の強化であると結論するのが適当と考える。我々は既にOEBの残存眼と同側の視覚野では、視覚刺激を受容するニューロンの数が増加することをc-Fos発現の分析で明らかにした。今後は、本実験の処置を受けたラット、特にOETについて同様のc-Fos発現の分析を行い、促進現象の背後にある神経メカニズムを解明したい。
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