研究概要 |
一流のスポーツ選手の優れたプレーを支えるのは、身体運動能力に加え、練習や経験を通して獲得された,専門的知覚(expertise perception)である。本研究代表者はスポーツ選手の専門的知覚を心理物理学的測定法により研究することを提案し、そのような研究をスポーツ心理物理学(sports psychophysics)と呼んだ(Mori,1999,Fechner Day '99)。以上を踏まえて、本研究ではスポーツ心理物理学を確立するための基礎的研究として、空手道選手の専門的知覚を実験的に検討した。3年間の研究成果をまとめると次の通りである: 1.競技場面を模した刺激とそうでない刺激を用いて、対戦者の攻撃に対する空手道選手の素早い反応と正確な予測を実証した(Mori, Ohtani, Imanaka,2002)。 2.誘導運動錯視の追従眼球運動理論に基づき、一般人よりも空手道選手の方が錯視量は大きくなることを予測し、実験結果もそれを支持した(瀬谷・森,2002)。 3.運動視標の追従中に周辺視野の刺激を検出あるいは弁別する課題において、空手道選手の反応時間、正答率、眼球運動が一般人とは異なることを示した(瀬谷・森,2003)。 以上の研究の成果については論文や著書で公表するとともに、日本心理学会(平成14年、東広島市;平成15年、東京)、日本スポーツ心理学会(平成13年、東京;平成15年、つくば市)、電子情報通信学会HIP研究会(平成14、15年、ともに仙台市)、Annual Meeting of the Psychonomic Society(平成15年、バンクーバー)で発表した。
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