研究概要 |
本「痴呆対応等コミュニティケアにおける『住民参加・エリア設定』に関する調査研究」の成果は,次の4つからなる.1つは地域福祉研究からみた「痴呆対応等コミュニティケアにおける『住民参加・エリア設定』に関する調査研究」の意義として,これまでの地域福祉研究における社会資源論の弱さを痴呆対応のコミュニティケアにおけるサービス資源の内容によって補強しえたこと.具体的にはこれまでの在宅福祉サービスとは異なる新たなサービス形態としてコミュニティケアを再評価し得たことである.2つは,「住民参加」による痴呆対応コミュニティケアの実践として「宅老所」を取り上げるなかで,日本版のコミュニティケアの構成要素として「小規模・多機能・地域密着」を明確にし,単機能にとどまるグループホームケアと異なるケアの有効性を分析しえた. 3つは,自治体レベルでの痴呆対応のコミュニティケアをシステムとして成立させるために必要な「エリア設定」について,最終的には都市部では武蔵野市・町田市,農村地域では長野県真田町を取り上げ,その実態とともに介護保険制度のもとでも「エリア設定」の有効性のあることに言及した.とりわけ,町田市と真田町で展開されているエリアの発想は,新たな介護保険事業の計画化にも反映させる必要のあることを明確にしえた.4つは海外との比較を試み,スウェーデンとイギリスの痴呆高齢者を対象とするコミュニティケアの自治体動向について考察した.
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