研究概要 |
新生児集中治療室入院患児へのソーシャルワークプログラムの開発のために,数量的分析,事例分析,グラウンデッド,セオリー,アプローチによる質的分析の3つの異なった研究アプローチからプログラム開発への示唆を導き出した.子育て生活に変化をもたらす9つのきっかけが存在しておりそこの時点に着目することが重要であることが明らかになった.すなわち物理的環境変化,物的・資源的環境変化,子どもの身体的・医学的変化,子どもの心理的・行動的変化,子どもの社会的変化,母の身体的・医学的変化,母の心理的・行動的変化,母の社会的変化,子どもと母以外の他者の変化である.さらにアセスメントの時期とアセスメント項目が導き出された.アセスメント時期は,(1)入院直後,(2)診断確定時期,(3)新たな病状変化(悪化)の時期,(4)保育器からの離脱時期,(5)退院方針決定時期,(6)退院後一ヵ月目,(7)退院後半年目,(8)1歳前後,(9)2歳前後,(10)4歳前後,(11)就学年齢前年春頃,(12)就学後半年,(13)小学校2年生後半を想定した.アセスメント項目は(1)子育て生活の変化をもたらすきっかけである9つの要因,すなわち物理的環境状態,物的・資源的環境状態,子どもの身体的・医学的状態,子どもの心理的・行動的状態,子どもの社会的状態,母の子どもの身体的・医学的状態,母の心理的・行動的状態,母の社会的状態,母と子ども以外の他者の存在の状態と役割とがそれぞれどのようになっているかを確認,(2)現時点でそれぞれがどのように関係しあって母と子どもの生活に影響を及ぼしあっているかという9つの要因の相互の関係性,(3)それらが母と子どもの生活にどのような意味を持っているかという影響力,(4)それらがどのような問題の状態像を引き起こしつつあるのか,また引き起こしているのか,すなわち生活障害の進行状態,(5)解決または予防のためには何をどのようにしたら何が変えることができるか,ということである.さらに極・超低出生体重児へのソーシャルワークを出生から小学校低学年までを想定して生活変化,生活障害の状態像,援助課題,援助プログラムという整理の仕方でソーシャルワークプログラム案を提示した.
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