研究概要 |
本研究は,第2次世界大戦後,民主党の総裁として,日本社会党,国民協同党とともに中道連立政権を樹立し,その首班となった芦田均の生涯を日本近現代史の中に位置づけ,芦田の活動を一つの鏡として,日本近現代史の展開についての新しいイメージを提示することを目的とした。 この研究目的達成のため,本研究は,次の3点を研究の具体的指標とした。 (1)戦前期,芦田が,外交官として,政党政治家として,国際政治学者として外交ジャーナリストとして,いかなる活動を行ったのかを明らかにすること。 (2)戦後期の芦田の政治行動,すなわち,占領下の政党政治への対応や,講和条約を経て1955年体制の形成にいたる戦後政治の歩みの中で芦田が果たした役割を解明すること。 (3)芦田の選挙地盤である丹波・丹後との関わりを解明すること。 本研究においては,上記3点の研究目標を達成すべく鋭意作業を進め,現在の時点で,必要な史料文献の収集と解読の作業を終了しているが,史料文献を分析したうえで,芦田均の歴史的人物観を確定し,それを通して近現代日本史についての新しいイメージを提示するためには,いま少し時問が必要である。したがって,本研究成果報告書は,完全な意味で研究を締め括るものとはなっていない。本報告書が,論文の形式ではなく,本文とレジュメという形をとり,しかも,戦前期の芦田の活動に記述が集中しているのはそのためである。本研究の本格的な研究成果は,できうる限り近き日に公表する予定である。
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