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中国における社会主義体制の形成の史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610424
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 東洋史
研究機関東京都立大学

研究代表者

奥村 哲  東京都立大学, 人文学部, 教授 (80144187)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
キーワード社会主義体制 / 基層社会 / 社会統合 / 抗日戦争 / 総力戦 / 国民政府 / 徴兵 / 動員 / 伝統社会 / 徴兵制 / 社会的利害対立 / 土地改革 / 一元的非自律的統合 / (国共)内戦 / 微兵制 / 保甲制 / 戸籍制度 / 総力戦態勢
研究概要

私は社会主義体制を、「帝国主義」の侵略に備えた後進国の総力戦の態勢であると捉えている。それを構成する基本的要素は、次の3つである。(1)政治における1党による独占的な権力掌握と指導・支配、(2)経済における生産手段の公的所有・経営と市場を排除した行政的指令による経済(いわゆる「計画経済」。実質的には究極の統制経済)、(3)社会における個や私を否定する一元的非自律的統合。中国において、抗日戦争以後に(1)(2)が形成されていく過程は比較的理解しやすいが、(3)は難しい問題であり、研究もほとんどないに等しい。これは中国の伝統社会が社会主義に連なる「共同体」的な色彩が濃いものであったという、誤った認識があったことも関係している。事実は全く逆で、伝統社会は組織性の低い個別主義的傾向が強い社会であり、社会主義体制の下での個々人が私を否定されるほど緊密に組織された状況とは、決定的な断絶がある。
この2年間は、徴兵の問題を手がかりに、伝統的な組織性の低い社会が、抗日戦争から内戦期を経て変容していく過程を調べた。中国第二歴史档案館(南京)や四川省档案館の档案によれば、国民政府は日本に抵抗するため多くの青年を徴兵せざるをえなかったが、それは矛盾に満ちた非常に困難なものであったことがわかる。赤紙一枚で簡単に召集できた日本とは根本的に異なり、もともと組織性が低いうえに、ナショナリズムを喚起することもむつかしく、多くの青年が逃亡するため、拉致などの強引な手段も用いざるをえなかった。また生産力が低いもとで、基幹労働力を兵士として徴発することは、食糧調達のための重税とあいまって、基層社会に苛酷な負担を強いるとともに、地域間や階層間など、社会内部に深刻な利害対立を生み出した。共産党が「階級闘争」論に基づく土地改革運動に組織しやすい情況が、抗日戦争の過程で作り出されていったのである。

報告書

(3件)
  • 2002 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 奥村 哲: "民国期中国の農村社会の変容"歴史学研究. 779号. 18-24 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Okumura Satoshi: "The transformation of the Rural Society in Republican China."Rekishigaku Kenkyu(Journal of Historical Studies). No.779. 18-24 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 奥村 哲: "「中国的特質」とは何か?-加藤弘之報告へのコメント"現代中国研究. 第9号. 14-19 (2001)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 奥村 哲: "批判される側の論理-加藤弘之氏の書評への「反論」"現代中国研究. 第10号. (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 東アジア地域研究会: "『東アジア経済の軌跡(講座東アジア近現代史2)』 (奥村執筆は「第4章 中国における資本主義と社会主義」)"青木書店. 310(109-138) (2001)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 本庄比佐子, 内山雅生, 久保 亨 編: "『興亜院と戦時中国調査』 (奥村執筆は「第4章 重要国防資源調査」)"岩波書店. 382(153-175) (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 奥村 哲: "「中国的特質」とは何か?"現代中国研究. 第9号. 14-19 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 櫻谷勝美: "東アジア経済の軌跡(講座東アジア近現代史2)"青木書店. 310 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

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公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

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