研究課題
基盤研究(C)
本研究により、南部フィリピンのイスラーム運動に関して、以下の点が明らかにされた。1.20世紀前半のイスラーム運動は、これまでほとんど研究されていなかったが、ラナオ州ではハッジがイスラーム改革運動を行なっており、イスラーム伝統の継承と革新をめぐって異なる考え方が存在し、せめぎあいが生じていたことを明らかにした。2.1930年代ラナオ州のイスラーム知識人が現地語で書いた請願を分析し、彼らがムスリム社会の現行秩序を維持しつつ、イスラーム法を実践する権利の認知を求めていたことを指摘した。3.1930年代ラナオ州で活躍した有名な山賊について、その実態とイメージを検討し、呪術的要素を持つ民衆イスラームが、ムスリム民衆の支持を調達する上で重要な役割を果たしていたことを示した。この運動は、保守的社会勢力と結びつくことによって、異教徒排斥運動としての性格を強め、キリスト教徒とムスリム住民の間に敵意と不信を醸成した。4.1950-70年代ラナオ州におけるイスラーム知識人の出版活動を検討し、現地で教育を受けたイスラーム知識人が、大衆向けイスラーム物語を通じて、ムスリム民衆のイスラーム政治運動への動員において積極的な役割を果たしたことを示した。5.20世紀を通して、イスラームをシンボルとして用いる武装闘争は、軍や民兵によるムスリム虐殺事件をきっかけとして活発化した。紛争の拡大抑止・解決にとって、市民社会の平和運動は、人権侵害に対する監視役として、また、社会倫理の醸成において、重要な役割を果たしうることを明らかにした。
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