この研究は、新聞の投書欄の語彙を対象として、一般の現代人が日常生活で使用する語彙において、どのような専門語が新しく流入しており、そこにどのような語彙変化の特徴が見られるかを分析したものである。 投書欄の語彙を調査した結果を分析したところ、度数の低い語に専門的な語彙が認められたが、それらの中心となるものは、外来語を中心とする片仮名語群であった。そこで、固有名詞を除く外来語について分析を行った。その結果、上位の語では、メディアに関する語や社会的な問題とかかわりの深い語が多かった。そして、それらのうち、社会的な問題に関連する語に専門的な新語があることがわかった。他方、度数の低いものでは、医学に関する語、経済関連の語、社会福祉に関連する語などが見られたが、これらの多くはなんらかの意味で、社会的な問題とかかわりをもっている。そういう意味で、専門語の新語は社会的な問題とともに、一般化してくることが予想される。 専門語が日常語化する場合、基本的に外来語のように外部から新たな概念として流入してくるものが多いことが明らかになった。そして、その事実に応じたことだが、度数の比較的低い語に多く見られる。また、日常語化するからには、当然、日々の暮らしとかかわりが強いわけで、社会的な問題とともにその一般化が進んでくることも明らかになった。そして、報告書では、そのような条件に当てはまる語を抽出した。それらが日常語化する専門語(新語)と呼べるものである。
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