研究課題/領域番号 |
13610517
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
紅野 謙介 日本大学, 分理学部, 教授 (20195671)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
|
キーワード | 中里介山 / 大衆文学 / 書物史 / 出版史 / 文庫 / 書誌 / データベース |
研究概要 |
本研究は、財団法人日本近代文学館に所蔵されている中里介山文庫1万点について書誌調査を行ない、データベースを作り上げた。 調査の過程で、これまでかえりみられなかった介山文庫の重要性が再認識された。文庫には「近世綺聞」「大和名所図会」「歴史綱鑑」「農民蜂起譚」「本朝医人伝」「武道極意」「尺八通解」など、地誌、名所図会、史書、風俗、医学、剣術、音楽をめぐるさまざまな本、くわえて江戸末期から明治初期に出された合巻、黄表紙、漢籍などの和書、エンサイクロペディストらしい洋書の百科事典類など、文学ならざる書物であふれていた。しかも、かなり独自に手を加えていて、表紙や奥付の破損したものも、題簽の欠けた和本もある。何冊かを合本したものもある。これらの膨大な雑書の宇宙にとりまかれながら、介山は『大菩薩峠』を書き続けたのである。介山文庫自体は雑多なコレクションではあるが、それだけに在野の民間知識人の知のネットワークが浮かび上がってくる。また蔵書の一部に介山の直筆と推定される書き込みも多く発見され、『大菩薩峠』という大長編小説の創作の秘密に迫ることが出来た。 また介山は『大菩薩峠』の出版に関しても、独自な私家版作りを行なった。印刷や出版に関する介山独特の哲学は、小説内でも挿話として盛り込まれ、介山文庫の書物研究が同時に介山自身の書物作りと重なり、ひとつのループをなしていることも明らかになった。 平成15年4月に山梨県立図書館で開催された「中里介山『大菩薩峠』展」では、介山文庫から数十点が展示され、NHKハイビジョンで放映された『大菩薩峠 果てなき旅の物語』というドキュメンタリー番組でも、介山文庫への言及がなされた。
|