1、整版『源氏小鏡』の調査 十一種類ある整版をすべて閲覧して、本文異同を調べた結果、どの版も本文は同一であるという通説の否を指摘して、「親和国文」第36号にて発表した。 2、異本『源氏小鏡』の調査 写本は六系統に分かれ、第一・二系統は流布本、第三系統以下は異本で、一本ずつ内容が異なる。物語から離れた粗筋や説話は、流布本よりも異本に多く見られる。そこで異本(計22本)をすべて調査して、特異な点を指摘して、解題にまとめた。 3、流布本『源氏小鏡』の調査 流布本(計47本)をすべて調査し、系統ごとに代表的な善本を選び出した。 4、科学研究費補助金学術図書の交付申請 本研究の成果をまとめて『「源氏小鏡」諸本集成』と命名し、日本学術振興会の平成15年度科学研究費補助金公募に応募した。小著の内容は、以下の通り。 (1)翻刻:『源氏小鏡』の重要な伝本を系統ごとに13本厳選し、全文を翻刻した。その中には本邦初公開の稀本もある。小著の刊行により『源氏小鏡』の伝本が、初めて系統別にすべて容易に見られるようになる。 (2)解題:『源氏小鏡』を系統別に扱い、それぞれの特徴を論じる。小著の刊行により、『源氏小鏡』の全容が初めて解明される。
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