研究課題
基盤研究(C)
本研究は、入植以来、アメリカ人の集合的無意識を特徴付けてきた、「アメリカン・サブライム」、すなわち雄大で崇高なる新大陸の景観に表象される神話的なアメリカ像への固執が、テクノロジーの発展とともに二十世紀アメリカにおいて大胆な変容を遂げつつも、依然としてアメリカ的無意識を根強く規定し続けているという観点から、現代アメリカ文学における「崇高美」の表象を明らかにするとともに、そこから生じる新たなアウラの発現を詳細に分析したものである。その手続きとして、各時期の文学作品から「アメリカン・サブライム」の表象をできるだけ網羅的に抽出し、その変遷の軌跡を通時的に把握するとともに、共時的視点より、アメリカ的「崇高美」の表象が、どのようなときにどのようなかたちで文化的ディスコースとして作動してきたかを、文学のみならず、視覚芸術、並びに広範なメディア・スタディーズを視野に入れ、具体的に分析を加えた。以上の作業を踏まえたうえで、デリーロ、ピンチョン、オースター、パワーズ、クーヴァーなど主要な現代アメリカ作家の作品に照準を合せ、従来の「アメリカン・サブライム」の表象にいかなる捻りが加えられ、どのような転移がなされたかを明らかにすることを通じて、ポストモダニズムにおける新たなアウラの発生の本質とその問題点を、グローバリゼーションと絡めつつ考察した。その結果、これまで崇高とされてきた大自然とは対極的なテクノロジーやメディアによって大量生産・大量消費されるヴァーチャルなイメージ、並びに消費文明から必然的に発生する廃物などに、ポスト・ベンヤミン的なアウラが生じ、そちらへとアメリカ的「崇高美」の表象が、新たな身体性を孕みつつ、再配置されていくことが判明した。
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