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プルーストにおける「忘却」と「無意志的記憶」の生成と結合―第六巻の問題性

研究課題

研究課題/領域番号 13610613
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 仏語・仏文学
研究機関早稲田大学

研究代表者

徳田 陽彦  早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (40126602)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードプルーストの物語構造 / アルベルチーヌの創造 / 忘却のテーマ / 無意志記憶 / ヨーロッパ語系文学 / フランス文学 / マルセル・プルースト / プルーストにおける忘却 / プルーストの忘却P論 / 遅れて創造したテーマ / 既テキストへの導入 / ジルベルト物語の変貌
研究概要

マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の第6巻『逃げ去る女』の主要テーマは忘却である。話者は、忘却の最後の三段階で忘却の一般法則を展開する。しかるに、N.モーリアックが近年発見した第六巻の新資料は("最終稿"とまで称して出版された)、これほどまで心的現象としての忘却を完成させたプルーストの意図を無視するかのように、忘却論が展開される「ヴェネチア滞在」の章が削除されている。筆者はかつて、このは新資料は雑誌『レ・ズーヴル・リーブル』に記載予定であった第6巻の抜粋であるという仮説を発表した。この仮説を裏付ける証左として、『失われた時を求めて』では、いかに忘却のテーマが必須であるかという事実を、今回は第2巻『花咲く乙女たちのかげに』について考察した。フランス国立図書館所蔵の「1914年のグラッセ棒組校正刷」と現行版を、話者とジルベルトの恋愛にかんして比較研究した。校正刷の第一部では忘却は存在しなかった。話者の関心がいつしか母親のスワン夫人にむかい、第二部ではジルベルトはたいして役割を担っていない。現行版第二部の冒頭で、話者はジルベルトへにたいする忘却がほぼ完成したと叙述する。この叙述の矛盾性・曖昧さを物語の論理の観点から分析して、作者プルーストの意図を考察した。その結果、第一部と同様に、話者とジルベルトとの恋愛は終焉を迎えていないことが判明した。しかしプルーストは、現行版では話者が彼女を慕う記述の箇所を削除せず、保持していた。この事実は物語の流れからいえば、一貫性を欠き、冒頭の叙述は一種の"マニフェスト"的意味しかもたない。現行版においてこの巻でアルベルチーヌを登場させる必要にせまられた、プルーストのいささか性急な物語上の矛盾した配慮が形になってあらわれたといえよう。以上の内容を学部の紀要2回に書いた。

報告書

(3件)
  • 2002 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 徳田陽彦: "アルベルチーヌ:プルーストの『花咲く乙女たちのかげに』第一部の真の主役"早稲田大学政経学部「教養諸学研究」. 112. 39-68 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 徳田陽彦: "Presentation du theme de l'oubli dans la deuxieme partie d' Al'ombre des jeunes filles en fleurs chez Proust"早稲田大学政経学部「教養諸学研究」. 114. 3-20 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Haruhiko TOKUDA: "Albertine, real heroine in the 1st part of Les jeunes filles en fleurs of Proust"Journal of Liberal Arts, Waseda University. 39-69 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Haruhiko TOKUDA: "Presentation of the theme of oblivion in 2nd part of Les jeunes filles en fleurs (in French)"Journal of Liberal Arts, Waseda University. 3-20 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 徳田 陽彦: "Presentation du theme de l'oubli dans la deuxieme partie d'A l'ombre des jeunes filles en fleurs chez Proust"早稲田大学政治経済学部「教養諸学研究」. 112号(校正刷). 1-16 (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 徳田陽彦: "アルベルチーヌ・プルーストの『花咲く乙女たちのかげに』の真の主役"早稲田大学政経学部「教養諸学研究」. 112号. 1-31 (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

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公開日: 2002-04-01   更新日: 2016-04-21  

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