研究概要 |
本研究計画では,ドイツ語の形態的・統語的・意味的規則体系を抽出・記述するため,ドイツ語基本動詞の実証的分析を行うとともに(第1目的),このような研究方法を理論的に再検討した(第2目的)。第1目的の実証的分析作業としては,ドイツ語基本動詞に関する様々な事例収集を行い,デジタル資料化した。特に,状態変化動詞のデータ収集は,動詞と結合する名詞的構成素などの使用頻度にも着目して行った。第2目的の理論的再検討作業としては,このような研究の方法論を,特に「事実性」「科学性」「実証性」などの観点から考察を行い,以下の二つの帰結を得た。第1の帰結は,「容認性」という現象の考察から,コーパスを第一義的な分析対象にするべきであるという方法論的方針の提唱である。現在,コーパス分析として,(イ)規範文法などの,言語運用上からの批判的実証,(ロ)言語形式の,言語運用上の使用頻度調査などに着手した。 第2の帰結は,「言語の規則体系は(「事実」というより)視点によって創り出されるものである」という考察に基づき,分析の対象と目的についての[再]定義である。分析の対象については,生成的側面よりも,検証のより可能な理解的側面の方に視点を置くべきであること,また,分析の目的については--言語外の観点から言語仮説を検証するため--実用性という目的概念を導入すべきであることを提唱した。なお,このような方法論的再検討の一作業として--研究計画の理論的背景が明確になるように--本研究計画に関連する研究成果を新しい知見と共に選択・整理したものを本研究計画の研究成果報告書とした。
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