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戦後の日本におけるゲーテ受容

研究課題

研究課題/領域番号 13610623
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 独語・独文学
研究機関京都大学

研究代表者

高橋 義人  京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (70051852)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
キーワードファウスト / ゲーテ / 遠藤周作 / 三島由紀夫 / 石川達三 / 手塚治虫 / ホムンクルス / クローン人間 / マクベス / 四十八歳の抵抗 / 辻邦生 / 禁色 / 卒塔婆小町 / メフィスト / 受容史
研究概要

戦後の日本におけるゲーテ受容について語るとき、最も重要なのは、『ファウスト』である。
ゲーテの『ファウスト』の中核には悪魔との契約譚がある。したがって日本の作家が『ファウスト』文学を受容するときには、「悪魔との契約」という主題を日本の風土に馴染ませなければならない。ところがこれは決して容易なことではない。というのも日本人の多くは、「悪魔との契約」はもとより、悪魔の存在そのものを信じてはいないからだ。
遠藤周作は小説『真昼の悪魔』(1980年)のなかで、日本人にとっての悪魔の間題に真正面から挑んだが、その試みは成功したとはいえない。
これに対して三島由紀夫は「悪魔」ではなく「通り魔」のような「魔」を間題にし、より日本の現実に即した考察を行なった。しかもその「魔」の考察を三島はゲーテの『ファウスト』と結びつけ、三島の「わがファウスト」を書いた。それが彼の『禁色』と『卒塔婆小町』である。この2作品の中核をなすのは、美と醜の対立であり、メフィストには「醜」の役が与えられている。
石川達三は『四十八歳の抵抗』において、ゲーテの『ファウスト』を下敷きにしながら、現代日本のサラリーマンの悲哀に満ちた生活をパロディ風に描き出した。ファウストのように人生をやり直そうと試みた主人公の試みは挫折せざるをえない。ファウストのように生きることは、現代の日本においては不可能だということを石川達三は示した。
手塚治虫は生涯に3度、ゲーテの『ファウスト』を漫画化している。彼の諸作品の中心にあるテーマは、科学技術による地球環境の汚染であるが、このテーマは遺作の『ネオファウスト』に明瞭に表れる。ゲーテの『ファウスト』に出てくる人造人間ホムンクルスを手塚はクローン人間に置き換え、大量生産されたクローン人間による軍隊によって地球が壊滅する。『ネオファウスト』によって手塚は、漫画がどれほど強い時代批判力を持っているかを示すことに成功した。

報告書

(3件)
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  • [文献書誌] 高橋 義人: "科学と哲学の「再婚」"科学(岩波書店). 71巻4/5号. 389-392 (2001)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋 義人: "畏怖と憧憬の間"文学(岩波書店). 2巻6号. 24-32 (2001)

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  • [文献書誌] 高橋 義人: "動く形はいかに把握されるか"スポーツ運動学研究(スポーツ運動学会). 14号. 1-13 (2001)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Goethes "Farbenlehre" und der Ausdruck der Natur"Goethe-Jahrbuch (Internationale Goethe-Gesellschaft). Bd.118. 247-259 (2002)

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  • [文献書誌] 高橋 義人: "ゲーテと錬金術"モルフォロギア(ナカニシヤ出版). 24号. 16-27 (2002)

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  • [文献書誌] 高橋 義人: "かたち・リズム・おもかげ-三木形態学と芸術学"Saison Art Program Journal. 9号. 28-41 (2002)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋義人, 大貫隆, 島薗進, 他: "グノーシス 陰の精神史"岩波書店. 374 (2001)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋義人, 大貫隆, 島薗進, 他: "グノーシス 異端と近代"岩波書店. 372 (2001)

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  • [文献書誌] 高橋義人, 芳賀日出男: "ヨーロッパ古層の異人たち"東京書籍. 232 (2002)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Goethes "Farbenlehre" und der Ausdruck der Natur"Goethe-Jahrbuch. Bd.118. 247-259 (2002)

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      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Goethes,Farbenlehre"und der Ausdruck der Natur"Goethe-Jahrbuch. Bd.118. 247-259 (2002)

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      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 義人: "ゲーテと錬金術"モルフォロギア. 24号. 16-27 (2002)

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      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋義人: "かたち・リズム・おもかげ--三木形態学と芸術学"Saison Art Program Journal. 9号. 28-41 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Vorwort des Herausgebers"Neue Beitraege zur Germanistik. Bd.1Heft 1. 9-11 (2003)

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      2002 実績報告書
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Goethes Kritik an die modernen Wissenschaften in "Faust II""Akten des Asiatisehen Germanistentagung in Beijing 2002. Bd.1(近刊). (2002)

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      2002 実績報告書
  • [文献書誌] Yoshito Takahashi: "Goethes "Geschichte der Farbenlehre" und die Kulturwissenschaft"Neue Beitraege zur Germanistik. Bd.2 Heft 3(近刊). (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋義人, 芳賀日出男: "ヨーロッパ古層の異人たち"東京書籍. 232 (2003)

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      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 義人: "科学と哲学の「再婚」"科学(岩波書店). Vol.71 No.4/5. 389-392 (2001)

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      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 義人: "畏怖と憧憬の間(ハザマ)"文学(岩波書店). 第2巻 第6号. 24-32 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 義人: "動く形はいかに把握されるか"スポーツ運動学研究. 14号. 1-13 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋 義人: "ゲーテとディルタイ-その精神的な親縁関係"西村・牧野・舟山編『ディルタイと現代』(法政大学出版局). 196-205 (2001)

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      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 高橋, 大貫, 島薗, 村上: "グノーシス 異端と近代"岩波書店. 372 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

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公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

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