研究概要 |
平成13年度はコロンビア大学付属図書館が所蔵する「バフメーチェフ・アーカイヴ」のうち、Rodichev papersにより、19世紀末のリベラルの活動家ロジチェフに対するゲルツェンの影響について調べた。これは「ゲルツェンとロジチェフ」と題し、『横浜国立大学教育人間科学紀要III(社会科学)』(no.5,2002,pp25-40)に発表された。 平成14年度はゲルツェンと同時代人で12歳年上の思想家チャアダーエフとゲルツェンの個人的な友好的関係とは裏腹な思想上の対立について考察した。その成果は「ゲルツェンの見たチャアダーエフ」と題し、『横浜国立大学教育人間科学部紀要III(社会科学)』(no.6,2003,pp.-16)に発表された。 平成15年度は40年代のゲルツェンの哲学的著作である『学問におけるディレッタンチズム』を考察し、ゲルツェンのヘーゲル左派的立場の特質について論じた。この成果は「ゲルツェン『学問におけるディレッタンチズム』覚書」と題し、『ロシア思想史研究』第一号(2004年)に発表された。 平成16年度は最終年であったことから、これまでのゲルツェン研究を改めて歴史的に跡付け、ゲルツェン研究の今日的意義を確認した。その過程で出会ったアイリーン・ケリー(Aileen Kelly)のゲルツェン研究『Toward Another Shore』(1998,Yale University Press)に対する書評論文を書いた。その論文の題は「アイリーン・ケリーのゲルツェン論」。発表の揚所は『ロシア思想史研究』第二号(2005年)である。
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