研究課題/領域番号 |
13610671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 長崎純心大学 |
研究代表者 |
笹栗 淳子 長崎純心大学, 人文学部, 講師 (40333249)
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研究分担者 |
田窪 行則 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (10154957)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 形式名詞 / 名詞の定性 / 属性(の集合) / 文法化 / マッピング / モーダル助動詞 / 意味構造と統語構造のインターフェイス / ECM構文 / 属性の(集合) / ECM構造 / 形式意味論 / 「〜のこと」 / 守護と目的語の非対称性 / 属性 / モーダルの助動詞 / メンタルスペース |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)基本的な形式名詞の用法に対し、それらの用例が、基本的な辞書的意味と統語的位置との相関で説明できることを示すこと、(2)基本的な辞書的意味とその比喩的な拡張の仕方に法則性があること、その拡張と統語的性質に相関があることを示し、いわゆる「文法化」の概念をより精密化することである。 初年度は語彙部門と統語部門とのインターフェイスを整備する作業を主に行った。特に「ところ」に関して、その辞書的意味をスケール上の「位置」とし、場所化・部分化・系列化・時系列・反事実的条件文の帰結という用法が、この辞書的意味と問題となるスケールの同定、統語的環境からどのように導けるかをメンタルスペース理論におけるスペース間マッピングとスペース融合を応用することで示した。次年度はこの研究に関して「ところ」の辞書的意味を「AのBである部分」という二項述語として再定式化することで、この形式名詞のすべての用法が説明できることを示した。最終年度は、形式名詞「コト」が「名詞のコト」という表現形式をとった場合の用法を統一的に説明することを試みた。名詞に後続する「のコト」に関しては、動詞との共起関係が義務的なものと随意的なものがあり、それぞれの意味的特徴をもつ。その意味的特徴は「名詞」「の」「コト」の意味から構成的に導出されることを示した。「の」は属格「コト」は「事実」「出来事」を意味し、「名詞のコト」は「名詞が指示するものに関するある出来事あるいはすべての出来事」という構成的意味が導かれる。そして「名詞」が指示的である場合は「のコト」はその指示名詞の属性の集合と等価となり、これは結果としてgeneralized quantifierと同じタイプとなる。「のコト」をこのように捉え、さらにmodel theoretic semanticsの理論的枠組みに従うことにより、随意的な「のコト」の意味的/統語的特徴を説明できることを示した。
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