研究課題/領域番号 |
13610694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
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研究分担者 |
小松 和彦 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90111781)
早川 聞多 国際日本文化研究センター, 文化資料研究企画室, 教授 (10208605)
井上 章一 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40135603)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 生命観 / 性愛観 / 春画 / 羞恥心 / 進化論受容 / 生命主義 / セクシュアリティー / ジェンダー |
研究概要 |
従来、日本近代において、性愛を神聖なものとする観念から獣性によるものに変化した、といわれてきたが、生命観全体の変遷の中において、性愛観の変化を捉えなおしてみると、近世においても、日本神話から枕絵などまでを見れば、性愛の獣性視と神聖視は並行して存在し、また混在していたことは明らかであり、また、その並行、複合状態は、その内容を明治期に変化させつつも、今日までつづいていることが判明する。近代における生命観の変化とは、生物学的生命観と生物進化論受容によって、人間を生物の一種とする観念が浸透したことであり、これにともなって、性愛を生物的本能によるものとする観念も浸透した。従来、生物進化論の受容が社会進化論とともになされたことが日本的な特色のひとつとされてきたが、それはヨーロッパでも、とりわけアメリカでも起こったことであり、生物学進化論をエネルギー保存則などとならぶ世界原理のように受け止めたことこそが、進化論受容の日本的な特色といえる。これは一方では、文芸における自然主義思想によって、性愛を獣性の発現と見る見方を広げたが、他方では、本能に基づく行為を宇宙の「生命」の営みの一部とみなす生命主義の立場から性愛を神聖視する観念をも生んでいた。その後者の思想に立ち、厨川白村が世界全体の性愛観の歴史を「神聖視から獣性視へ」とまとめあげ、これを超える恋愛の思想を主張した。この性愛の変遷史観が通説化し、今日にいたっているが、総じていえば、神聖視と獣性視は、生物進化論によって、内容を変化させつつも、その後も、並行、混在しつづけてきている。
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