• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

「所有権」意識の発達についての研究―法心理学の一つの試み

研究課題

研究課題/領域番号 13620001
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 基礎法学
研究機関北海道大学

研究代表者

松村 良之  北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80091502)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード所有権 / 所持行動 / 権利意識 / 権利の相補性 / エフェクタンス / 社会的概念発達 / 認知発達 / 素朴理論 / 自己所有権論 / 概念発達 / 社会的概念 / 内面化 / 占有 / 所持 / 正義 / コンピテンス / 概念学習
研究概要

所有権は我々の社会生活においてもっとも基礎的な社会的概念である。本研究はファーバイらの先行研究をふまえ、単なる所持と区別された所有権という社会的概念の発達を取り扱った。方法としては、16人の5歳児および6歳児に面接を行い、所持と所有の意味と定義、所持と所有の始期と終期、所持と所有の根拠、所有の根拠と金銭の支払い、所有の正当性と分配の公正などを尋ね、そのナラティブを分析した。以下のような知見が得られた。(1)5歳児であっても、所有の観念がある程度存在する。しかし、彼らのうちの何人かは「所持を失えば所有も失う」ということを述べる。このことは、彼らが、現実の所持と区別された所有の概念を理解していないことを示している。これに対し、6歳児は現実の所持と区別された所有の観念を有している。(2)子供は社会的概念としての売買を理解していて、売買が所有の始まりと所有の正当性についての観念をもたらしているように見える。(3)子供は、金銭・売買・所有の帰属が何らかの形で結びついていることを漠然と理解している。しかし、交付される金銭が、所有権の移転のシンボルとして理解されているのか、それともものとの対価性を示すものとして理解されているのかは判断できない。(4)子供は売買のほか贈与(ものをあげるという行為)を所有権の根拠として理解しているように見える。しかしながら、子供にとっては、贈与は家族間にとってのみ妥当していることのように見える。(5)5歳児は所有の相補性(自己の所有を主張するとともに他者の所有を尊重するという意味での)を十分には理解していない。それゆえ、彼らの所有の主張は自我の強さに起因しているのかもしれない。以上の知見の理論的含意としては、ある程度年長の子供の持つ所有権意識は、成人の持つ所有権意識の基底をなしており、心理学で言うところの所有権についての素朴理論を構成していることである。

報告書

(3件)
  • 2002 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (11件)

  • [文献書誌] 松村良之: "法社会学は何をしてきたか--川島武宜の法意識研究を中心として"『Series Law in Action<1>法と社会へのアプローチ』(和田仁孝ほか〔編〕)(日本評論社). (発表予定). (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松村良之: "所有権の心理学"『法と心理学のフロンティア<1>理論・制度編』(菅原郁夫ほか〔編〕)(勁草書房). (発表予定). (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松村良之: "法的判断の専門性と協働--背景・方法・意義"判例タイムズ. 1102号. 14-17 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] id.: "Expertise of Legal Decision and Coordination --- Background, Methods, Significance"Hanrei Times. No.1102. 14-17 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] MATSUMURA,Yoshiyuki: "WADA, J. et al (eds.) : Seriesin Law in Action, Vol.1 : Approach to Law and Society, Nihonhyoron-sha, in printing"What does the Sociology of Law have done. --- Focusing on the Study on Right Consciousness by Takeyoshi Kawashima.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] id.: "SUGAWARA, K. (ed.) : Frontiers of Law and Psychology, Vol.1 : Theory and Institution, Keisoshobou, in printing"Psychology of Ownership.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2002 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 松村良之: "法社会学は何をしてきたか--川島武宜の法意識研究を中心として"和田仁孝他編『Series Law in Action<1>法と社会へのアプローチ』(日本評論社). (発表予定). (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 松村良之: "所有権の心理学"菅原郁夫他編『法と心理学のフロンティア<1>理論・制度編』(勁草書房). (発表予定). (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 松村良之: "法的判断の専門性と協働--背景・方法・意義"判例タイムズ. 1102. 14-17 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 松 村 良 之: "法社会学は何をしてきたか-川島武宜の法意識研究を中心として"和田仁孝ほか【編】『Series Law in Action〈1〉法と社会へのアプローチ』(日本評論社). (発表予定). (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 松 村 良 之: "所有権の心理学"菅原郁夫ほか【編】『法と心理学のフロンティア〈1〉理論・制度編』(勁草書房). (発表予定). (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

URL: 

公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi