研究概要 |
サイバースペースでの知的成果物(ここでの、知的成果物という語は広義の意味において理解している。)の保護と利用促進のための最適なシステム設計の研究のため、平成13年度ないし同16年度において、以下の研究を行った。 まず、平成13年度においては、サイバー空間と対極をなす、リアルワールドにおける知的成果物の保護と流通に関する研究として、ビデオゲームを対象として、著作権法を始めとする知的財産法上の保護と流通性の両側面の研究と、知的成果物の保護の結果として生ずる市場への参入可能性の問題を検討した。 平成14、15年度においては、ドメイン名の研究、サイバースペースでの商標及び著作権問題を検討した。この期間における成果は、工業所有権法学会年報において、「ドメイン名の法律問題」として、ジュリスト1227号において「ネットワーク社会と商標」として公表するとともに、検索エンジンとハイパーリンクの問題については、ライントピックス事件と、ドイツにおける同様の紛争である、BGH 17.July 2003,WRP 2003,1341判決を比較検討する手法により、検討を行った。 知的財産権の属地性の原則とサイバースペースでの国境のない知的成果物の自由な流通性に伴う問題を解決するための方向性を示すものとして、WIPO共同勧告"Recommendation Concerning The Protection of Marks, and Other Industrial Property Rights in Signs, on the Internet"の日本国の商標法及び不正競争防止法との整合性、適合性を検討し、そこから商標に関する相抵触する商標権の保護と商品役務の自由な流通についてのシステム設計を検討した。
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