特殊法人及び金融機関の経営破綻における倒産処理法上の諸問題につき研究を行い、次のような知見を得た。 1 デリバティブ取引は、現行破産法61条により当然清算され、その一括清算条項は、破産法上の相殺権の趣旨に照らし有効であること、会社更生等の再建型倒産処理手続においてもデリバティブ取引は当然清算されるべきこと、したがって、金融機関を当事者とするデリバティブ取引につき、「金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律」のような特別の立法措置は本来不要であること。 2 民事再生法が一般先取特権者を拘束しない手続であり、一般先取特権付の債券発行を行う特殊法人の再建手続として不適格であること、したがって、民事再生法の施行は、その根拠法令に破産能力を認める規定が存在しない限り、特殊法人を清算するかその事業をどのような形で存続させるかは立法者の裁量に委ねられてているとの結論に影響しないこと。 3 改正会社更生法が導入した代理委員強制の制度と、金融機関の更生特例法が定める預金保険機構、投資家保護基金および契約者保護機構の預金者、投資家、契約者の代理権限とはその趣旨が異なること。
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