研究課題
基盤研究(C)
当研究は、離婚、児童虐待など、子が家族紛争に巻き込まれた場合に、どのようにして子の利益を確実に保障するかを、子の意見表明権の視点から検討するものである。日本の家族法制には、子の意見表明権や子の意思を尊重する旨の規定がなく、子に関する家事事件において、家庭裁判所実務の中で家裁調査官に調査命令が出された場合に、子の意向調査という形で子の意思を聞き取ったり、限定された事件(子の監護、親権喪失等)において、15歳以上の子の意見聴取義務が規定されているにすぎない(家事審判規則54、70条)。しかし、子には成長段階に対応した判断能力がある。父母や周囲の者が子の能力を信頼し、その希望、思い、意見に配慮した紛争解決を目指す必要がある。具体的には、児童虐待など親権者の監護教育が不適切な場合において、子が祖父母や叔父伯母など父母以外の者による監護教育を希望し、それがまさに子の福祉に適うときには、児童福祉法制上の措置ではなく、民法766条を用いてこれらの者を子の監護者に指定できること、父母の別居・離婚後の親子の交流(面接交渉)については、面接交渉が子の権利であることを基礎に、同居親(監護親)には子と別居親との面接交渉を確保する義務があることを、これまでの判例・学説の検討から、解釈論として導き出した。また家庭裁判所においては、「父母教育プログラム」を実施して、面接交渉の義務性を父母が理解し、試行面接、合同面接、同席調停など子が当事者として手続に参加して、子の気持ちを父母に伝え、父母がこれを正面から受け止める実務を展開すべきことの有効性と可能性を指摘した。
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