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ポスト開発主義時代における多民族国家の民主化移行問題

研究課題

研究課題/領域番号 13620078
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 政治学
研究機関東北大学

研究代表者

土佐 弘之  東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70180148)

研究期間 (年度) 2001 – 2003
研究課題ステータス 完了 (2003年度)
配分額 *注記
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
キーワード民主化 / 和解 / 正義 / 人権 / 記憶 / 赦し / 忘却 / 復習 / 復讐 / ポスト開発主義 / 移民族社会
研究概要

昨年度から今年度にかけて、内戦や抑圧的な権威主義・全体主義体制の下での虐殺など著しい人権侵害行為に対して、和平後または民主化後、どのような対応をすべきかといった、いわゆる「(民主化)移行期における正義(transitional justice)」問題についての研究を進めた。南アフリカの真実和解委員会などの真相究明委員会形式のものや旧ユーコスラビア国際刑事裁判所との国際刑事裁判所形式のものなど、各事例について文献サーヴェイをしながら、復讐/赦し、記憶/忘却といったアポリアを軸に、それぞれの事例の位置づけや移行期をめぐる正義の問題についての理論的整理を試みた。その成果の一部は、「移行期における正義(transitional justice)再考」といった論文として公刊する機会を得た。そこでの結論を繰り返すと、以下の通りである。過去に関する集合的記憶が社会的構築物である以上、過去をどう取り扱うかの選択肢について、私たちは一定程度の選択の幅をもっている。もちろん、それは様々な制約がある中での選択の幅ということであるが、本研究では、移行期における正義という問題、つまり過去の人権侵害という問題を取り扱う際、とられる選択は、どのようなバイアス性をもっているかといったことについて、和平・民主化プロセスのパターンとの関連で検討した。次に、復讐へと傾斜したものについては赦しの方向へ、忘却へと傾斜したものについては記憶の方向へといったようにそれぞれ、いずれも何らかの形で不十分な対応を改めていく必要性がでてくることについて、ジャック・デリダの二つのテクストを手引きにしながら理論的な検討を行った。もちろん、内戦後の社会再建ということを視野に入れた場合、こうした狭義の矯正的正義だけではなく、法的正義(法の支配)、回復的正義、さらには配分的正義など、複数の正義を同時に追求することが必要そうしたことを妨げているマクロ・レベル(特に世界システム・レベル)の構造的制約を取り払っていくことが必要であることも確認した。構造的な制約が少しずつ取り払われ、沈黙を強いる抑圧的な構造的権力を解体していくことができれば、語りによる歴史物語の書き換えの動きも活性化し、記憶再編の可動幅、さらには共有化される記憶の地平も広がっていく。「記憶の政治」の新たな展開は、信頼関係の再構築を促し、結果としては、内戦再発といった形での「絶対的な敵対関係」の暴走を食い止める可能性ももっている。そうした意味でも、「記憶の政治」そして「移行期の正義」の問題に対する的確な対応の模索は、単に過去にどう取り組むかという問題であるだけではなく、未来の社会を、どうデザインしていくかという問題ともなっていることを確認した。
以上が、本研究の要旨であるが、以上のような研究を進めていく過程で、それと関連する形で、社会構築主義的アプローチによる国際関係論研究(批判的安全保障研究など)の分野を開拓する研究作業を進め、単行本『安全保障という逆説』などを公刊した。

報告書

(4件)
  • 2003 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 2002 実績報告書
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (20件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (20件)

  • [文献書誌] 土佐 弘之: "移行期おける(transitional justice)再考"社会科学研究(東京大学社会科学研究所). 55. 89-100 (2004)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2003 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "安全保障という逆説"青土社. 365 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2003 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hiroyuki Tosa: "Rethinking Transitional Justice"Journal of Social Science Institute of Social Science University of Tokyo. vol.55. 89-100 (2004)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2003 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Hiroyuki Tosa: "Paradox of Security etc."Seidosha. 365 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2003 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "コモンズの悲劇とエコロジカル・アイデンティティ"吉川元編『国際関係論を超えて』山川出版社. 101-121 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "バックラッシュ(再領域化)の政治と暴力"竹村和子編『"ポスト"フェミニズム』作品社. 125-129 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "危機の21世紀初めにおける三つの理想主義"平和研究(日本平和学会). 27. 10-23 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "移行期における(transitional justice)再考"社会科学研究(東京大学社会科学研究所). 55. 89-100 (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "安全保障という逆説"青土社. 365 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "国際難民レジームの政治力学"国際人権. No.13. 27-34 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "まなざしのグローバル・ポリティクス"現代思想. Vol.30-1. 82-101 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "ジェノサイドとイノセンスとのアイロニカルな関係"現代思想. Vol.30-8. 119-127 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "《条件付き歓待》の国際政治"現代思想. Vol.30-13. 94-109 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "「テロリズム」の語られ方"現代思想. Vol.31-3. 80-99 (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐 弘之: "解説「高潔な戦争の仮想化とラディカルなヒューマニズム」マイケル・イグナティエフ『ヴァーチャル・ウォー』"風行社(所収).

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐弘之: "人間の安全保障という逆説"現代思想. 29巻7号. 170-185 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐弘之: "長い二一世紀におけるボーダー/ボディ・ポリティクス"現代思想. 29巻8号. 208-229 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐弘之: "国家安全保障という制度的思考の揺らぎ"法学. 65巻4号. 45-88 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐弘之: "脱領土的テロリズム、ポストモダニ帝国体系と世界内戦"現代思想. 29巻13号. 151-155 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 土佐弘之: "まなざし(視覚/身体)のグローバル・ポリティクス"現代思想. 30巻1号. 82-101 (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

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公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

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