研究課題/領域番号 |
13620080
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小川 有美 千葉大学, 法経学部, 助教授 (70241932)
|
研究分担者 |
横田 正顕 立教大学, 法学部, 助手 (30328992)
網谷 龍介 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40251433)
中山 洋平 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (90242065)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | ソーシャル・キャピタル / パットナム / 政党組織 / サブ・カルチャー / 市民社会 / 民主化 / EU / ガヴァンス / 社会組織資本 / ガヴァナンス / 宗教的組織 / ヨーロッパ統合 / 民主化支援 |
研究概要 |
本研究は、パットナム(Robert D.Putnam)の著作によって政治学の重要な新概念となった社会組織資本(social capital)の方法論・問題設定に注目し、EU統合と社会の多文化化により転換を遂げつつあるヨーロッパの政治・社会・国家の多国間的・多層的な比較分析を試みたものである。本研究の成果として得られた知見は、第一に方法論的なものである。パットナムの社会組織資本研究は、アメリカ民主主義の「原型」の衰退に関する懸念を反映して、健全な共同体社会が健全な制度・経済の土台となるという、単線的な世界観をとっていた。この結論は、ヨーロッパ諸国の多層的な観察によって修正・補完されなければならなかった。すなわち、ヨーロッパの文脈では(1)社会(組織)資本のみならず、(2)政治資本(政党組織やサブカルチャー)そして(3)制度資本(新ハンチントン派的観点ともいうべき、福祉国家や公的制度への信頼の重要性)の三つの次元が、いずれも基盤的かつ相互依存的な歴史的関係を示している。第二の成果は、上の方法論的な批判・補完を採り入れ、分担して実証的研究を積み重ねた結果得られた帰納的諸知見である。ドイツでは社会組織を政治に組み込む規範的伝統があり、それが現在のEUの「調整」型ガヴァナンスに再生されている。宗教的組織化の強弱は、社会動員のみならず、官僚制や福祉国家(制度)との歴史的相互作用の結果としてはじめて説明される。南欧・旧東欧の民主化国家では、「ヨーロッパ化」による民主主義・市民社会への影響は「両義的」であり、安定化の一方、反システム感情の潜在的増大、NGOや国際組織による市民社会の従属化・分断化さえみられる。さらにEUレベルで、必ずしも民主化を再強化する社会組織資本が形成される保障はない。移民・女性など社会(運動)グループのもつ資源の格差が存在するからである。
|