研究課題/領域番号 |
13620092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松下 洋 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (60065464)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 新自由主義 / 労働運動 / カトリック教会 / ポピュリズム / メネム政権 / 古典的ポピュリズム / ネオポピュリズム / FTAA / アルゼンチン / CGT(労働総同盟) / 余後効 / 労働法改正 / 健康保険の改正 / 反政府デモ / デラルア大統領 / 社会対話 / ベルゴグリオ大司教 / 労働法の改正 / メネム政府 / 悲劇の一週間 / ペロン / 解放の神学 / 民政移管 |
研究概要 |
本研究は1990年代のラテンアメリカで実施された新自由主義政策に反対した労働運動とカトリック教会の連携をアルゼンチンのケースを中心に検討することを目指したものである。研究のきっかけは、本来水と油の関係にある労働運動とカトリック教会が新自由主義反対という点で連携しているケースを見出したからであり、そうした事例を「ラテンアメリカにおけるカトリック教会と労働運動」のなかでまとめておいた。本研究はこの連携の実態をさらに掘り下げることを目指したが、研究を進める過程で労働運動の新自由主義に対する対応は支持から反対まで多様であること、カトリック教会も聖職者の一部が新自由主義に反対して労働者と共闘したことはあったものの、上層部は慎重で政府との対立を避けようとしたことがわかった。そこで、労働運動をポピュリズム(ペロニズム)の一部分として把握し、それを基にしてカトリック教会との関係を探ることを目指した。その成果が「ラテンアメリカにおける古典的ポピュリズムとネオポピュリズム;分析枠組の変化をめぐって」であり、メネム政権下の労働運動の体制が彼のネオポピュリズムに妥協的だったかを理論的観点から検討した。また、大陸的規模の新自由主義的協力ともいいうるFTAA(米州自由貿易圏)構想に関しても、アルゼンチンを含めたメルコスール諸国の労働運動の一部が強く反発し、カトリック教会も批判的姿勢を示しているが、教会は対話の必要性を強調するにとどまっており、そこに政治勢力としての教会の限界があることを「Mercosurから見たFTAA:政府と市民社会のレベルから」で示した。総じて、新自由主義への反対で労働運動とカトリック教会は連携しうる可能性があったが、労働側が分裂し、教会が政治活動に慎重なことなどから、両者の連携は一部に限られたといえよう。
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