研究概要 |
私は平成13年度の科学研究費補助金を得て,多くの高校へ実際に出かけて模擬授業を行い,高校の「政治経済」と大学の「経済学」をいかにしてスムーズに接続させる事が出来るかの研究を行った.その場合,高校生に興味のあるテーマを探すのみならず,できるだけ高校の社会科の先生方と話し合って,「政治経済」の授業を行う場合の間題点を探った.多くの高校に共通するのは,経済学専攻の社会科教師は少なく,歴史専攻の社会科教師が多いという点であり,「経済」編を教えるのが難しく,「政治経済」を提供している高校は意外に少ないことが分った.また,これらの先生方の意見として興味深かったのが,歴史の教科書,参考書とくらべ,経済学の教科書や参考書の数が少ないという点であった.これはどうも,大学の教科書として「経済学(入門)」,「ミクロ経済学(入門)」,「マクロ経済学(人門)」など,発行数は少なくないと思われるが,理論偏重で多様性が少ないとの印象を与えているのが理由ではないかと思われる.そこで平成14年度はこれらの点を考慮した「経済学入門」の教科書を執筆し,出版する事へ向け準備を始めた.ミクロ編では「環境間題」を1つのキーワード,マクロ経済学では「バブル崩壊」を1つのキーワードとして歴史と理論を融合するような教科書を目標とした.平成14年度は中間報告として民間シンクタンクの発行する月刊雑誌に全体的なスケッチを発表した.また,ある教科書の1章を執筆担当しているので「バブル崩壊」と平成不況の問題を歴史と理論を融合するように執筆した.これらの点をさらに発展させた「経済学入門」の教科書を執筆・出版した.
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