研究課題/領域番号 |
13630014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関 源太郎 九州大学, 経済学研究院, 教授 (60117140)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 18世紀中葉 / スコットランド / 貧民救済 / 経済開発 / ワークハウス / 18世紀 / 勤労の精神 / リネン製造業 / 毛織物製造業 / 貧民対策 / 雇用創出 / 貧・窮民救済の思想と制度 / 自発的献金 / 課税制度 / 工業化 / 都市化 |
研究概要 |
18世紀中葉までにスコットランドでは、タバコ貿易やリネン製造業が次第に成長していった。それは世紀末に急速に展開する産業・経済発展、都市化へと連なる伏水流を形成していた。この歴史展開は、リネン製造業振興による経済開発を提言したパトリック・リンズィの貧民対策思想の内容にも表れている。彼は一方で、輸出産業としてのリネン製造業を育成し、この産業が繁栄する時にはじめてスコットランドの経済開発は可能になると洞察する。他方で、貧民問題、すなわち物乞いや犯罪者の増加の原因は雇用不足、失業にあると見る。つまり、彼らに雇用の機会を与えれば、彼らは「国富と国力」の源になるのである。要するにリンズィによれば、彼らはリネン製造業の発展の一助になることを通じて、『国富と国力」の増強に貢献することになる。したがって彼は、彼らを刑法によって処罰するだけではなく、彼らをワークハウスに収容しリネンの生産技術および商品経済社会にふさわしい生活習慣と倫理を身につけさせることによって、本格的な近代化、工業化、都市化に向けた胎動に資する主体に鍛え上げるよう主張する。この時期、グラースゴウとエジンバラにワークハウスが開設された。それに先だって公刊された両都市のワークハウス設立案も、主体形成という点ではリンズィの主張と見解を同じくする。もっとも、両案とも貧民問題をリンズィほどスコットランド全体の経済開発と結びつけて洞察していないが。にもかかわらず、グラースゴウの案は貧民問題をグラースゴウの地域経済開発と関連させ、エジンバラの案は非自発的失業の存在を認識している点は注目に値する。さら注目されるのは、その後エジンバラでワークハウスの運営費調達のために課税すべきかどうかをめぐる論争が起きたが、賛成派、反対派の議論によって、本格的な工業化、都市化の時代に問われた貧民救済の論点が先取りされていることである。
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