配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
主要なテーマとして,(1)課徴金のカルテル抑止に対して持つ効果と,カルテル抑止を目的としたときの望ましい課徴金制度の研究,(2)市場のグローバル化を反映した,諸産業の世界的な寡占化の実態の調査,(3)'さまざまな企業の競争戦略が市場集中と経済厚生にもたらす影響に関する研究,をとりあげた。 (1)については,課徴金額の算定方法のもととなる課徴金ベースと課徴金レートがカルテル抑止と経済厚生にどのように影響するかについて分析し,望ましい課徴金制度を考察した。損害賠償ベースの課徴金制度だけが,たとえ課徴金制度がカルテルを抑止できない場合でも,企業の生産水準をより競争的水準に近づけることを示した。 (2)については,90年代後半以降,合併・買収により主要な産業で市場集中が進んでいるが,80年代以後という長い期間で見ると必ずしも集中が大きく進んでいるわけではないこと,しかし,資本提携によりグループ化が大きく進展しており,グループ単位の集中度は90年代後半から急速に高まっていることがわかった。 (3)については,まず,日本航空と日本エアシステムの統合について,両社の羽田空港発着枠が不十分ではなかったかと考えられること,理論的には1先導者と2追随者からなる市場より,対等な2社からなる市場の方が協調を生み出しやすいこと,今後競争が抑制されるなら新幹線との競合が弱い路線となるであろうことを指摘した。次に,航空産業における,既存大手航空会社の新規参入会社に対する略奪価格の問題を考察した。アメリカやドイツでの事例を検討した後に,日本の直近の事例について考察した。日本での公正取引委員会の対応は,複占に近い航空市場での競争を長期的に維持するために必要な措置であったが,ドイツ連邦カルテル庁の対応と比較すると,価格と費用の関係の考慮,および下限価格制限の範囲と期間の明示で不十分な点が残ったと結論付けた。
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