• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

工場制と産業集積:産業発展の比較制度分析

研究課題

研究課題/領域番号 13630086
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 経済史
研究機関千葉大学

研究代表者

中林 真幸  千葉大, 法経学部, 助教授 (60302676)

研究期間 (年度) 2001 – 2003
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード工場制 / 問屋制 / 産業集積 / 絹織物 / 意匠 / 染色 / 多品種少量生産 / 柔軟な専門化
研究概要

本年度は,19世紀末から20世紀初頭のアメリカと日本における絹織物業の生産組織を解明するために,資料調査と分析を進めた.その成果として,日本の絹織物業の生産組織における効率性について,従来の研究とは異なる新たな成果を得ることができた.
従来の研究における想定とは異なり,1890年代から1900年代にかけての桐生の織元にとって技術進歩の要点は織布工程ではなく,染色,意匠,組織などの革新によるデザインの多様化にあった.織元は新たなデザインの先染織物を柔軟かつ迅速に市場に投入することによって利益をあげようとしたのである.そこで求められる効率的な生産組織は大規模な工場制ではなかったが,不熟練の賃機を短期間組織する問屋制も不適当であった.複雑な意匠の織物の生産には高度な製織技術が必要だったからである.
問屋制の実態もまた,従来の想定とは異なっていた.有力な織元は熟達した複数の機業家と10〜30年に及ぶ賃業取引を継続しており,それらの基幹的な賃機はしばしば専業であった.こうした長期的な取引においては,しばしば言及されてきた,怠業や原料横領などの賃機の「不正」は問題とはならなかった.「不正」を訴えていたのは,こうした問屋制を組織することのできなかった不良な織元経営であったと推測される.さらに問屋制の利益とは,従来指摘されてきたような,事業規模を伸縮する自由度や副業賃機の低賃金労働などではなく,熟達した機業家をはじめ,桐生に集積している多様な賃業者との取引関係を構築することによって達成される「柔軟な専門化」こそがその核心であったと思われる.産業集積の利益を最も効率的に引き出す生産組織が問屋制であり,これに,近代的な意匠,染色,組織の技術が組み合わされ,多様な織物が生産された.それが,出現しつつあった豊かな大衆の需要を獲得したと考えられる.
このように,1900年代の桐生絹織物業に見られた,都市大衆消費需要を標的とした生産の拡大は,問屋制を中心とする柔軟な生産組織による多品種少量生産によって可能となったと考えられる.

報告書

(1件)
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 武田 晴人編, 中林 真幸ほか: "地域の社会経済史-産業化と地域社会のダイナミズム-"有斐閣. (2002)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

URL: 

公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi