研究概要 |
平成13〜15年度の科学研究費補助金を受けての研究成果は、主としてイギリス国立公文書館(The National Archives,旧Public Record Office)所蔵のイギリス外務省領事報告(FO228)中の二十世紀初頭の中国条約港に於ける「会社登記制度」に関する文書ファイルの入手と、ケンブリッジ大学図書館所蔵のジャーディン・マセソン商会文書(Jardine, Matheson Archives)からの関連文書の入手に費やされた。入手した史料は、国内で入手可能な史料と対比検討を行った後、二つの形態の成果にまとまった。まず後者は、報告者の旧稿を現在の視点からまとめ直した単独著書、『伝統中国商業秩序の崩壊』(名古屋大学出版会近刊)に収録された論文の改訂に使用された。なお、本書は、本年度中に刊行の予定である。一方、イギリス外務省領事報告を用いた研究は、二編の邦文論文(「民国初期中国における外国人社会の役割」[『歴史評論』644、2003年12月]、「民国初期中国中英経済関係に関する一考察」[『東洋学報』投稿審査中])並びに口頭発表(「在華イギリス籍会社登記制度と英中、英米経済関係、1916〜1926」[2003年度政治経済学・経済史学会秋季学術大会自由論題報告、九州国際大学、2003年10月18日])となってまとまった。この口頭発表は、現在英文論文として執筆中であり、近日中に早稲田大学のCOE-CAS「現代アジア学の再生」支援下にある英文Working Paperとして発表の予定である。
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