研究概要 |
昨今、医療機関の経営は一層厳しいものとなり,経営体質の更なる悪化が予見される。こうした変革期に際して,医療機関が生き残り,事業を維持,成長させるためには,急激に変化する経営環境に対する適切かつ効果的な経営管理のシステムを構築し,効果的な経営を行っていくことが肝要である。本研究によって以下の成果があった。 1.診療報酬抑制環境は、日・米・韓の三カ国で類似した状況にあり、この三カ国では医療をマネジメントの視点でとりあげる研究が多く見られる。米国の医療機関における原価管理の展開は、管理対象の多様化が誘因となった側面が大であることを確認するとともに、日本や韓国でも同様の道筋を辿るであろうことが予測できる。 2.標準的な大規模医療機関により実施されている原価計算の実状を考察するとともに、日本の医療機関の原価管理の現状の把握と進歩的な医療機関の原価管理への取り組みを確認、検討し、それは何に起因するかを究明した。 3.韓国では、日本よりも医療経営学、医療マーケティングの研究が進んでおり、研究者も多いところから、これらの研究者に面接調査し、韓国の医療経営の現状を把握するとともに、原価管理領域の文献、資料を調査し、日本と同様、この分野では米国の影響が大であることを確認した。 本研究で得られた成果をもとに、わが国の医療機関の原価管理制度はいかにあるべきかを医療機関の種類,管理対象をも考慮しつつ引き続き検討していきたいと考えている。
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