研究概要 |
本研究は,ソフトウェア・プロセスのメトリック分析にもとづき提唱されたLehman's Lawを考察の基礎におき,そこから導かれる数学的関数や諸現象を活用して,ソフトウェアのメンテナンス・プロセスに対する会計管理の方法と,会計処理の方法とを確立することを目的としたものであった。平成13年度〜平成14年度の2年間の研究期間の中での,具体的成果となった,著書『学際的管理会計』(共著)の中では,「ソフトウェア・プロセスの会計管理とソフトウェア費の会計処理」に関して論じたが,前者のテーマは,純粋に管理会計的視点から,そして後者のテーマに関しては,財務会計的視点も含めて,総合的な研究成果を残せたように思う。また,論文『Eタイプ・ソフトウェアのライフサイクル・コスティングと利益計画に関する一考察」では,ソフトウェアを製品という観点から考察し,製品原価計算のあり方と,それにもとづく利益計画の立て方について考察した。これは,研究の趣旨の一つである,メンテナンス・プロセスの会計管理というテーマに適合するだけではなく,本来の目的を超えた予想以上の研究成果であったと考えている。 上記の研究が,現在脱稿し,刊行準備中の著書『情報化社会における管理会計の役割-現代競争市場へのアプローチとなる2つの前提を踏まえて-』(平成15年度「成果公開促進図書」,種目名:学術図書,課題番号:155331,単著)を産む礎となった。この図書の中で,ソフトウェア・プロセスの研究は,顧客価値の研究とともに,本書の構成に非常に重要な役割を担っている。また,本研究期間中に行った,本研究の成果である2つの学会発表が,この図書の執筆に大きな影響を与えていることを思うとき,非常に充実した2年間の科研費研究であったと考えている。
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