研究課題/領域番号 |
13630173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
加藤 千雄 大阪経済大学, 経営情報学部, 専任講師 (90319567)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 利益の持続性 / 株価の反応係数(ERC) / 公表利益管理 / 銀行 / 保有有価証券損益 / 市場インデックス / 配当政策 / 見越操延勘定 / 見越繰延勘定 / 裁量的利益管理行動 / シグナル効果 / 会計利益に対する株価の反応係数 |
研究概要 |
本研究では、経営者が行う裁量的な会計行動と、これに対する市場の反応の考察をすべく、次の3つの分析を行った。 (1)一般事業法人を対象に会計利益の持続性と株価の関係の検証 (2)特に銀行に注目し、銀行株式評価モデルの検証と保有有価証券評価損益情報と株価の関係の検証 (3)銀行に対する公的な配当規制と会計選択の関係の検証 (1)では、会計利益にARIMAモデルを適用し、利益の持続性を抽出し、持続性が高い利益の系列に対して高い市場の評価が付与されていることを株価の反応係数(ERC)を使い確認した。米国の先行研究とも整合的な結果であった。一方従来の研究では銀行の保有有価証券損益の開示情報が株価形成に対して有益な情報である、との分析が行われてきた。しかし邦銀の場合、保有有価証券に占める上場株式の比率が高く、投資家は株式市場の動向からある程度の推測が可能とも考えられる。そこで(2)では、説明変数に市場インデックスを新たに加え、分析を行った。従来の結果とは異なり、有価証券の実現損益計数は全銀行で説明力を失い、評価損益情報の感応度も低下していた。とりわけ市場ポートフォリオに近い大手銀行では、この傾向が一層顕著であった。銀行の利益管理を扱った(3)では、これまでの研究で取り上げられることが少なかった未収収益、未払い費用など見越し繰延勘定に焦点を当て、銀行の利益管理行動の実態を検証した。邦銀に対しては、かつて資本充実の観点から配当性向を一定範囲に抑えるべく規制が行われていた。安定的な配当政策維持の前提の下、銀行経営者は公表利益の維持を迫られることになる。実証結果は1990年代前半まで、見越し操延勘定の操作を通して利益管理を行っていたことを示していた。さらに配当性向基準が撤廃される1993年以降、この動きは沈静化していることも確認された。銀行による利益管理行動の存在を示唆するものである。
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