研究概要 |
昨今の企業不祥事事件は,法律や企業倫理(会計倫理)を遵守しないことから起こっている。こうした問題を学生や会計業務従事者に如何に教育や研究をしていくかが課題となっている。学生や社会人が,法令に違反する事件,倫理的な問題に出くわしたときに日常の学習や研修で行動基準を養っておく必要がある。 昨今の企業倫理に違反する事例について,何が非倫理的な行為であるかを各企業で検証しているか疑問である。時間をとって日常的に行うのが難しいのであるなら,いつでもできる事例を用いたシステムを構築しようというのが本研究の目的である。 本研究グループが描く会計倫理研究システムは,事例を用意して,解答者に自己採点してもらった後に,教官がネット上で各事例において何が非倫理的な行為であるかを問い,学生グループで議論してもらうものである。教官が解説を入れ,学生は倫理的な問題について学習する。 試作品を構築して学生に実際に学習してもらい,アンケート調査をしたところ,学習効果を確認できた。 試作品は,事例の設問10問に解答するシステムと,設問の3問はチャットシステムから成っている。事例の設問と解答のみの学習システムでは単調で学習効果があまり現れないようである。チャットシステムを用いることによって,教官が疑問点を提起して各自で議論する。日頃,意見を言わない学生でもネット上では議論に参加してくれる。 非倫理的な問題や法令違反事例は,グループごとの研修で行動基準を確立できると思う。本研究の成果は各種の学会で発表して議論を深めてより良い試作品が出来たのではないかと思う。
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