研究概要 |
バイフロベニウス代数は有限次元ホップ代数のある一般化として,2000年,土井・竹内により導入された.有限次元フロベニウス代数かつフロベニウス余代数であって,双方のフロベニウス構造がある条件で結ばれているものをいう.本研究においてはまず,バイフロベニウス代数の部分構造およびバイフロベニウス代数間の射の解析を行った.さらに体積元と呼ばれる特別な元が可逆のときは,半単純代数および既約指標の直交性がなりたつことを示した. 次に,バイフロベニウス代数の重要なクラスである群環的代数の概念を導入した.体k上の有限次元代数A, Aからkへの代数射ε:A→k,ある指定されたk基底B,および基底間の置換S : B→Bからなる4つ組(A,ε,B, S)である条件をもつものとして定義される.これは有限群の群環を抽象化したもので,アソシエーション・スキームに付随するBose-Mesner代数を基本例として含んでおり,河田によるCharacter代数の非可換類似物と考えられる.アソシエーション・スキームの研究への新しいアプローチになっている.本研究で得られた成果として, ・2次元と3次元の群環的代数をすべて分類した.また,5次元以下の群環的代数はすべて可換になることを示した.6次元で非可換なものが現れる. ・群環的代数の拡大のうち,その差が1次元である拡大の構造を決定した.
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