研究分担者 |
浅芝 秀人 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70175165)
住岡 武 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90047366)
津島 行男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80047240)
加戸 次郎 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10117939)
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研究概要 |
アルティン環の表現論において有力なAuslander-Reitenの理論を,有限群の表現論の研究に応用しようと目論みつつ研究を進めてきた.特に,完備離散付値環上の表現(以下では整数表現とよぶ)に注目し,そのAuslander-Reiten列やAuslander-Reitenグラフ(以下,ARグラフと記す)に関して考察した.まず,位数が素数巾の有限群の整数表現において,ARグラフの連結成分で射影加群を含むものの形状は半平面上に広がる格子状であることを見いだした.またごく少数の例外を除いて,射影加群はそのARグラフの端点に位置することもわかった.また,"自明なソースをもつ加群"もARグラフの端点に位置するということをつきとめた.ここで自明なソースをもつ加群とは,部分群の自明な加群を誘導してできる加群の直既約因子として現れる重要な加群のことである.さらに,この結果とAuslander-Reiten理論の基本定理から,位数が素数の3乗以上の素数巾の有限群の完備離散付値環上の群環は無限表現型である,という有限群の整数表現における表現型についてのHeller-Reinerの定理の簡単な別証明をすることができた. また,分担者の津島行男は,対称群の表現論の深い理論を応用することによって,対称群のヘッケ環におけるブロック分解に関する興味深い結果を導いた. ところで,加群の射影性と入射性が同値となる多元環は自己入射的と呼ばれ,群環はそのなかでも注目されている具体例である.分担者の住岡武は,加群の"対"の概念を用いて入射性についての研究を押し進めた.また分担者の浅芝秀人は,一般の有限次元多元環において,直既約加群の同型類を基底とする自由アーベル群がなす整ホール代数について考察し,リー代数との関連性を追求した.
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