研究概要 |
本研究の目的は、代数曲線のモジュライ空間をよく理解することである。中でも、代数曲線の定義多項式の射影不変式環と主偏極アーベル多様体のモジュライ空間A_gの座標、あるいは、その上の保型形式との関係を少しでも明らかにすることが最大の目標であった。このことに関しては、残念ながら、種数g=3のときでも複雑で、現時点では、新しいことは、わかっていない。これからも、引き続いて研究していく予定である。 他方、代数曲線のモジュライ空間の研究の一環として京都大学の上野健爾教授とn点付きアーベル的共形場理論を考えており、そこでアーベル的共形場のコンフォーマルブロックの空間の定義を二つの条件で与えて構成しようとした。その研究において、3点付き1次元複素射影空間のコンフォーマルブロックの次元が1次元であることを示せば、理論がうまくいくはずであったが、それがどうしてもうまくいかなかった。研究の結果、コンフォーマルブロックの定義の条件式はそのうちのひとつの式だけにしたほうが良いと思われ、現在では、その方向でアーベル的共形場理論を再構成中である。 この研究の中で、フェルミオン演算子を無限変数多項式環に作用する微分演算子としてSchur多項式を利用して具体的に構成することができるが、Schur多項式の性質を用いてその直接証明を与えた(鶴岡工業高専研究紀要 36(2001),41-46)。これをさらに発展させて無限変数多項式環上での微分作用素による表現論的に興味深い公式を見つけようと試みているが、現時点では、まだ、出来ていない。
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