配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
近年,環境保全がしきりに論じられている.その一つに干潟の保全の問題がある.干潟は,干出と水没を繰り返す環境条件から,海域環境の中でも特異な海洋生物や水鳥などの生息環境として大切な役割を持つ.しかしその干潟が近年,埋没,干拓,浚ちょうなどの原因により消滅の危機に瀕している.対応策の一つとして人工干潟の造成がある.干潟勾配の大小はシルトの海岸面からの流失と正の相関を持つ.一方,地下海水流域の拡大とは負の相関を持つ.従って,適正な干潟勾配の探索は人工干潟造成に重要な指針を与える. 干潟機能を損なう原因の一つとして,原油等による海岸汚染がある.それは海岸の砂に付着したり,浸透したりして,底生生物の生息地を覆い,底生生物の減少を招く.また砂に付着した油はバクテリアによって分解されて次第に減少していく. 以上に述べた現象は砂の中で生起する現象故に,その実験や調査は難しく未だ完全に理解された訳ではなく,推論の域をでないのが現状である.これらの現象に対して領域分割法及び最適制御の考え方を用いた数理モデルを構築して,そのシミュレーションを行い(計算機の中での)観測を行った. 数理モデル構築の上で重要な役割を果したのは,河原田と協力者によって開発されたDistribution theoretic approach to multi-phase flow (DTAMF)の理論である.この理論の特徴は互いにそれらの境界上で相互作用している多相流に対して統一的な運動方程式の構築を可能にした事にある.この理論の使用によって海岸上,砂中の空気,海水,油の運動を続一的に解析することが可能になり,油の表面に付着したバクテリアによる分解反応も油のIndicate関数の2階偏微分を導入する事によりモデル化された.この理論においては,領域分割法が重要な役割を果たしている.DTAMFは人体中の脳脊髄液の流動解析にも重要な役割を担った.
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