研究概要 |
本研究の目的は、地球観測衛星による環境計測の主目的である土地被覆の判別分析に関して、判別効率を改善する手法を導出することである.昨年度は分光情報に確率分布を,カテゴリの空間分布にはマルコフ確率場(MRF)を仮定し,判別基準を導いた.今年度は構造を持つ一般的なMRFの提案と母数推定について議論した.この結果は2つの国際シンポジウムでの招待講演として発表した(投稿中). 空間分布としてはMRFが有効であることがわかったので,分光情報に対してはサポートベクターマシンやアダブーストを用いて事後確率を定義し,MRFとの事後確率との積で判別する手法を考察した.この手法は統計的アプローチとほぼ同等の判別性能を示したが(テクニカルレポートを作成),特徴ベクトルを与えたときのラベルの事後確率の定義には改良の余地があることが分かり,研究を継続中である.またMRFの一つの応用として、高解像度画像の各画素のクラスタに分類し,それによって低解像度画像を補整する手法を提案した. また学習理論を遺伝子発現量のマイクロアレイデータに適用した.まず数千以上の遺伝子から判別に有用な変数をアダブーストで数十に絞り込み,さらにSVMで遺伝子を減らし,判別方式を導出した. この手法はt検定で選ばれた上位数十の遺伝子による判別結果と比較して,はるかに優れた性能を示した(発表準備中).
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