研究概要 |
1.辺数がNの任意のグラフGに対して、その頂点集合をd次元単位球面上にランダムに配置する。Gにおいて辺で結ばれているような頂点対に対応する球面上の点対の間の球面距離の最小値をDとする。N→∞のとき、ND^dの分布は平均がdB(1/2,d/2)の指数分布に収束する。ここでB(p,q)はベータ関数である。 2.2次元の単位球面上の有限個の球帽系F={C_1,C_2,...,C_N}に対して、その交グラフをG(F)で表わす。球帽系Fにおいて球帽C_iと交わる球帽の中心がすべてC_iの中心を通るある大円の一方の側にあるとき、C_iは片側球帽という。また、半球面より小さい球帽はプロパーであるという。Fに片側球帽が存在しなければ、交グラフG(F)は連結となる。また、片側球帽が存在せず、さらに、球帽がすべてプロパーなら、G(F)は2連結となる。(3次元以上の球面では、これと類似な結果は成立しない。)これを応用して、ランダム球帽系の交グラフに関する次の漸近的な結果が得られる。こんどは、F={C_1,C_2,...,C_N}を2次元単位球面上のすべて同じ大きさ(4πc/N)log Nのランダムな球帽の系とする。c>1/2なら、N→∞のとき、G(F)が2連結になる確率は1に収束し、c<1/4なら、G(F)が連結になる確率は0に収束する。 3.次元空間内の三角形ΔAOBの∠AOBの大きさをωとする。点Pから∠AOBを見るときその見かけの大きさは、ΔAOBを直線POに垂直な平面に正射影して得られる三角形ΔA'O'B'の∠A'O'B'の大きさに等しい。点PがOを中心とする単位球面上のランダムな点のとき、∠A'O'B'の大きさΘ(ω)を∠AOBのランダムな見かけの角という。東海大の前田陽一氏との共同研究により、確率変数Θ(ω)の平均がωに等しいことを示し、また、その分散が容易に数値計算できる2重積分の式を得た。
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